製造業機械メーカー
環境整備とともに組立現場にトヨタ流の生産管理システム「ストア・レイゾウコ生産方式」、作業の管理には徹底した「見える化」で部門間や部内のコミュ ニケーションを取りやすくし、業務効率を大幅に改善。

代表取締役社長 藤吉 繁子様
環境整備やカイゼンは、製品の品質と生産性を上げ、価値ある商品をお客様に提供するための手段であり、目的ではありません。そのカイゼンは常に利益に直結することでなければならないと思っています。

 

 


ストア・レイゾウコ生産方式により、3日分の部品をこ のワゴンに保管。その日の作業に使用するワゴンを現場に持っていく

高校生の提案でカイゼンされた道具箱。道具の大きさに合わせて型にはまっているため、取り出しやすい。

生産計画差し立て板と業務メモ。チームごとに色分けしてあるので、一目でわかる。依頼書はキオスクの新聞のように一枚ずつずらしてあり、取り出しやすい

生産ライン課題解決板。作業中に起きたトラブルや追加の部品の発注や入荷予定をこのボードで連絡する

 

生産性を上げてこそ環境整備予定と進捗の“見える化”を徹底し、効率UP

藤吉社長は、「環境整備がなかったらストア・レイゾウコ生産方式もできなかった」と環境整備の大切さを訴える。
ストア・レイゾウコ生産方式とは、必要な部品を必要な時に必要な分だけ入荷させる、というもの。
導入前は、部品をまとめて発注し、購入した全ての部品を棚にストックしていた。機械1台に棚が4段必要だったため、組立工場がストック棚で埋まり、探すのに時間がかかっていた。現在では作業日から3日分だけを各作業担当者のワゴンに分けて、その日の作業が一目でわかるようにした。また、全ての棚にキャスターを取り付けることにより、掃除/位置変更の容易さにもつながった。
作業効率を上げるには、いつまでに何がどこまで終わったかが一目でわかるのが一番。東伸では、各種掲示による作業予定と進捗状況の見える化を徹底することでそれを可能にした。生産計画差し立て板と業務メモはチームごに色分けがされている。
業務メモには目標と生産額が書き込まれており、作業担当者は仕事が終わったら進捗状況を業務メモに書き込む。積み残しがあったら翌日の予定に組み込み修正する仕組みだ。
作業中に起きたトラブルや急きょ必要になった部品の発注は、「組立ライン課題解決板」に記入。購買部が入荷の予定を書き込むと、その作業は何日後に予定すればよい、という計画が立てられる。


工場内に設置された生産進捗板は、作業の進み具合が一目でわかる。ここは熱心に説明を聞く参加者が多かった

「エクセレントカンパニー“現実現場”に学ぶ」の第1弾・見学会で東伸の組立工場を見学する参 加者

 

現場の声

当たり前のことができていなかった

工場が新しいので、きれいなつもりでいました。05年から見学会など他社を見る機会が増えて、他社の取り組みのすごさに驚きました。
自分たちが井の中の蛙だということに気がつき、これまでの自分の甘さを恥じました。
点検にまわると、物が決められた場所に戻っていない、ふたが閉まっていないなど、単純なことができていないことに改めて気づきました。
表示を判り易くするなどして、みんなができるようになりました。少しずつランクアップしてきています。

最初は私が抵抗勢力でした

部品をその日の分だけワゴンにストックする、という方法は研修で習ったものの、私はこれまでのやり方に固執し、受け入れませんでした。
いくつもある台車の中から部品を探し出すことにそれほど苦労はなかったからです。
指示にも「冷蔵庫は、大きいほうがいい」と見栄を張っていました。「とにかく言われた通りにやってみなさい」と言われ、しぶしぶやるという状態でした。
すると日に日に生産高が上がり、「このやり方が一番早い」と実感しました。私の意識が変わったのは、この数字という実績でした。