顧客マーケティングに必要な3C分析とは?

近年、ビジネスの世界においては大きなパラダイムシフトが起きています。
大規模な「チェーンストア型ビジネス」から、顧客マーケティングをより重視した「個店対応」が注目されているのです。大手チェーン店でも個店対応で打開を図るケースが増えているのです。
その背景には、顧客ニーズの多様化や、完全な「買い手市場」だと言われる状況があります。

 

こうした顧客マーケティングを重視しなければならない状況は、小売店だけではありません。
「良いものを作れば確実に売れる」という時代ではないのです。
「良いものをお客様のニーズや市場に合わせて提供」できなければ淘汰されるのが、現在の産業界の実情です。

 

そこで、ニーズや市場を知るための顧客マーケティングについて考察していきましょう。

 

顧客マーケティングに欠かせないのは「3C分析」だとよく言われます。
顧客(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の3つのCについて分析することが大切なのです。
最初のCである「顧客」分析とは、市場規模やニーズ、成長の可能性を探ることです。ターゲットとする客層を明確に設定することも、ここに含まれます。
ニーズを知るためには、アンケートや各種データを活用することも必要です。

2つ目の「競合」とは、競合他社について把握することです。現在の各社のシェアがどうなっているかを確認して対策を立てたり、自社や他社について新規参入の可能性を探ったりすることです。対象となる競合先についての分析も含まれます。
3つ目の「自社」とは、自社の現状分析の事です。自社の事業や製品にどのような特徴があり、長所や短所、経営資産がどうなっているかに関する客観的分析を行う事です。

 

しかし、この3C分析を単なる情報収集と捉える経営者もいます。
情報を得た事に満足して、そこから先のステップへと進んでいないのです。

3C分析の目的は、顧客やマーケット、自社についての情報を整理すると共に、
一歩進んで新たな事業のチャンスや現在の事業の改善へのヒントを得る事です。

ですから最も大切なのは、情報分析によって得られた考察から発展して、
独自のブランディングやビジネスを作り上げる事なのです。

顧客マーケティングが成功につながる6つのステップ

ここでは3C分析によって得られた情報をどのように生かしていくかということについて考えていきます。マーケティング情報に基づく次の6つのステップが、会社の成長と拡大につながることを理解してください。

 

①情報分析により現状把握

3C分析によって得られた情報から、まず自社の「立ち位置」を知ることが重要です。何より重要なのは、その立ち位置が顧客ニーズとどれほどマッチングしているのかを正確に知ることです。
また、競合各社に対する強みは何か? 逆に弱みは何か? をしっかりと把握しなければなりません。そこから顧客ニーズに適合して競合各社に打ち勝つために、自社には何が欠けているのかを考えます。
このようにして現状把握をすれば、次に何をすべきかが見えてくるはずです。

 

②コンセプトを明確に

情報分析と現状把握を行ったあと、次に行うべきなのは「ブランディング」です。顧客ニーズやマーケティングを踏まえて、自社の進むべき道を定める事です。誰をターゲットとして設定し、何を提供するかのかを明確にするのです。
当然ながらコンセプトを定める上で一番大切になってくるのは、顧客の利益や求めるものです。
「自社が作れるもの」を生産するのではなく、「顧客が購入したいもの」を開発して生産することを意識してコンセプトを作りましょう。

 

③顧客マーケティングに基づいた行動

コンセプトが決まったら、それに基づいてすぐに行動することが必要です。
顧客のニーズや市場動向は常に流動的です。ですから3C分析によって得られた結果に基づいて、すぐに行動することが最重要です。
資金が足りないからといって行動を先送りすれば、競争の激しい市場で打ち勝つことは極めて厳しくなります。借金を恐れず必要な時には十分な投資をしてでも即座に行動することで、マーケティングに即した結果を得る事も可能になります。

 

④ストーリーを顧客は求めている

多くの顧客が求めているのは「ストーリー」です。その商品を開発し、販売するに至ったストーリーに対して消費者が共感する時に、新たなヒット商品が誕生するのです。企業のコンセプトが共感を得ることで、大きなヒットは生み出されるのです。
例えば、眼鏡市場で急成長したJINSは、これまでの競合各社のコンセプトとは全く違うコンセプトを打ち出すことで顧客の共感を得ました。
従来は「メガネは目の悪い人のもの」という観点が主流でしたが、JINSは「目の良い人が視力を落とさないように」というコンセプトで開発を推進。パソコンのブルーライトをカットするメガネを販売してヒットを生み出しました。これまでにないコンセプトが共感を呼び爆発的なヒットにつながったのです。これは「ストーリー」を顧客が求めている事を示す例です。

 

⑤誠実なアピール

マーケティング分析から始まった成長曲線の5つめの段階はアピールです。
先ほども考えたように、顧客がコンセプトに共感するならヒットが生まれる可能性は高まります。
ですから自社のコンセプトやブランディングについて、顧客に適切に宣伝することが必要になります。
ここで注意しなければならないのは、インターネット社会では、良いニュースも悪いニュースも一気に拡散することです。自社にとって良いコンセプトだけでなく、自社にとって不都合な事実も一気に広まり評判を落とすことになりかねません。様々な食品偽装の問題などを見てもその点は明らかです。
そのため、真に顧客の側に立った誠実な経営が、今はより求められています。単なる宣伝戦略ではなく「誠実なアピール」が重要なのです。

 

⑥評判の拡散で持続成長へ

インターネットは、「拡散」のはたらきと共に「保存」のはたらきも持っています。顧客の目線に立った経営は評判となり、長く顧客の思いに残るのです。
しかし、そうした評判に胡坐をかいていては、顧客のニーズからずれが生じます。
ですから、成功曲線に入ったときが次の3C分析を行う時期です。良い評判が拡散している間に、さらなる顧客ニーズに応えたコンセプトを打ち出すのです。そうすることが、評判の相乗効果を生み出し、持続成長へとつながっていきます。

効果的な顧客マーケティングで次の成長へ

主力の事業がなかなか成長しない、思うほどマーケットに浸透しないという悩みは多くの企業が抱えています。
しかし、顧客マーケティングに基づくしっかりとしたコンセプトを打ち出す企業は、厳しい状況の中でもヒットを生み出しています。
ユーザーの「本質的なニーズ」をとらえる分析力と、情報に基づく戦略構成が、マーケットを攻略するためには重要です。
そして、効果的な事業を展開するためには、顧客目線に立ったコンセプトを打ち出して、それを知ってもらう事が大切なのです。インターネット社会の特徴を理解した宣伝戦略も欠かすことはできません。
真の顧客マーケティングとは、それらすべてをパッケージ化して考える事でもあります。一つ一つの段階を理解して事業運営に落とし込むことが、ヒットを生み出すために重要なポイントとなるでしょう。