営戦略を立てることは、大企業だけでなく中小企業にも必須の事柄です。
しかしそのことは理解していても、実際には作るのが難しいと感じていたり、そのための時間が惜しいと考えている経営者もいます。
しかし経営戦略の重要性とその立案方法やプロセスを知り、実際の企業運営の中で実行することには大きなメリットがあることを、これから考えていきます。

 

経営戦略はなぜ必要?

何か新しいことを始めようとするときには、それまでのものを壊したり、変えたりすることによる痛みを伴うことがあります。
人は、できれば変化しないでそのままでいたいという気持ちが働きがちですから、痛みを伴う変化には特に抵抗感を感じる人も多いでしょう。

また、現状のやり方でそこそこ業績が上がっている場合、それに満足して安心してしまいます。
特に成熟した企業であれば、会社の労働環境も整備され、居心地よく日々を過ごし、考えないことに慣れてしまいます。普段から考える習慣がないと、いざ問題が起こった時に対応できなくなってしまいます。
日々の業務が忙しく、これまでの慣例化されていたやり方からなかなか抜け出しづらいという問題もあります。

経営戦略と事業戦略の違いが説明できますか?

経営戦略と似た言葉として、「全社戦略」や「事業戦略」という言葉があります。
これらの違いや真に表す事柄について知っておくことは、経営戦略を打ち立てる上で大切なことです。
まずはこの3つの戦略の違いについて簡単に考えておきます。

「経営戦略」は一言で言えば、「企業としての目的を果たすための方策」と言えます。
現在の企業状況から目標となる地点まで到達するために何が必要なのかを具体的に打ち出したものとも言えます。

「全社戦略」は、経営理念やビジョンに基づいて立てられた全体的な方針、または基本となる考え方ということです。

「事業戦略」は、全社戦略で定められた方向性を具体化するための戦略や方策と定義づけることができます。

経営戦略という大きな枠組みの中に、全社戦略と事業戦略が含まれていて、全社戦略を構築したのちに事業戦略が形成されるという事ができます。
今回はその中でも特に事業戦略の立て方について考えていきます。

事業戦略立案から実施までのフロー

事業戦略は順を追って構築していかなければ整合性を保つことはできません。ですからここでは事業戦略の立案から実施までの5つのフローについて取り上げます。
1. 外部分析
事業戦略を立案する上で大切な最初の段階となるのは「外部分析」です。
変化の激しい現代は、「良い商品を作っておけば売れる」という時代ではないことは明らかです。
売り出す商品について、市場規模や顧客の要望などを詳細に知る必要があります。
これが「外部分析」です。
ターゲットとなる顧客のニーズや購買に至るまでの心理も分析する必要があります。それに加えて業界の市場規模や競合相手についての分析も必要です。
こうした外部分析をすることによって、市場で勝利を収めるための基礎知識を手にすることができるのです。
2. 内部分析
次に行うべきなのは「内部分析」です。
ここでいう内部とは、自社内部の分析のことです。
自社がライバル他社に勝っている部分は何か、逆に改善が必要な分野は何かを知ることです。
また、外部分析によって得られた顧客ニーズや顧客心理とマッチしたマーケティングを行っているかどうかを検証する必要もあります。
3. 事業戦略を立てる
外部分析と内部分析によって浮かび上がってきた自社の強みを最大限生かす方法と弱点を補う方法を具体的に示すのが、3つ目の段階である「事業戦略を立てる」ことです。
このようにして市場の中で成功を収めるポイントを探し出し、それを具体化するための方策を打ち出す事こそが、意味ある事業戦略という事になります。
事業戦略には、いつまでに何をすべきかという時間的観点も明確に打ち出されていなければなりません。
4. 事業戦略の実施
このようにして立てた戦略は、実施して初めて意味をなします。
事業戦略を立てることで満足していては成果は何も生み出しませんので、定めた手順に従って会社全体で行動に移します。
この段階で大切なことは、経営陣だけでなく社員にも事業戦略を周知徹底し、それに基づいた行動がとれるようにすることです。
また実施に当たってはスピードが一つのカギになることも、忘れてはならない大事なポイントです。
5. PDCAサイクルで実施内容を分析
PDCAサイクルで実施内容を分析するのが最終段階です。
ここまで計画(P)・実施(D)という段階を踏んできたので、評価(C)と改善(A)という段階も忘れずに行っていく必要があります。
評価の際には問題点を探すだけでなく、成功したポイントに関する分析も必要です。失敗にも成功にも確実に理由があるので、成功に至った要素をブラッシュアップすることで、さらなる成功に結び付けることができます。
そして失敗に至った要素は排除し改善することで、次なる成功への準備を整えることができます。

まとめ

経営戦略は企業活動において柱となる基本施策です。
「頑張れば報われる」という考えを持つ経営者もいますが、他社の経営者も「頑張っている」ことを考えると、成功のためには「頑張る」ことに加えた緻密な戦略が必要です。
自社の武器となる経営資源には限りがあることを考えると、資源をどのように用いるかが経営戦略によって明示される必要があります。
市場の動向やライバル他社の弱点を突くための戦略が事業戦略によって具体化されなければ成功を収めることはできません。
緻密な経営戦略を立案できるなら、少ない経営資源であってもマーケットで勝利を収められる可能性があるのです。
これこそが経営の醍醐味ですので、経営戦略を立てることは非常にやりがいのある「経営者の楽しみ」の一つであると言えるでしょう。