し前までは、人生80年と言われていました。そのころはサラリーマンの定年も一律に60歳で、定年後は余生と呼ばれました。
40歳で「人生の折り返し」を意識し、50歳では仕事人生の幕引きについて考えたものです。
しかし、今は人生100年と言われるようになりました。定年を65歳へと引き上げる企業も増え、たとえ定年を迎えたとしても継続雇用で働き続けることが一般的になりつつあります。
これは、国の年金対策という面も多分にありますが、日本のシニア世代がまだまだ働けるだけのエネルギーを持っているということでもあります。
そんな令和の時代に、50代で考えておかなければならないこととはどういうことなのでしょうか。

 

50歳は人生の折り返し地点

人生が100年だとすると、その折り返し地点は50歳ということになります。
まだ人生は半分残っていることになるのです。人生を前半戦と後半戦に分けるなら、50歳からは人生の後半戦と言えるでしょう。
しかし、後半戦ではありますが、終盤戦ではありません。
まだまだたくさんのことをすることができる、また、しなければならないのが現代の50歳なのです。

人生の前半戦は、だいたい皆同じようなルートをたどります。
小学校に入学したときから、全員同じ年齢で、同じように中学・高校へと進学していきます。
親や社会によって敷かれたレールの上を歩いてきたもと言えるでしょう。

しかし、学校を卒業して働き始めると、人によってキャリアに違いが出てきます。職種も多岐にわたっていますし、昇進のルートやスピードもそれぞれ違うでしょう。
そして、50歳になったときには、同級生であっても立っている場所はそれぞれ違い、築いてきたキャリアも一人一人違うものでしょう。
がむしゃらに働き、走り続けてきたキャリアの中で、初めて立ち止まり、自分を振り返るとき、それが50歳だと言えます。

人生のものさしを確認する

人生の前半戦は、皆同じような価値観の中で働いてきたとも言えます。仕事をするからには、成果をあげ、昇進し、報酬も増やしていくことがよいことだと思われていました。
与えられたこと、新しいことにチャレンジして成長していくことが重要でした。
しかし、人生の後半戦もその価値観のまま進んでいくことはできません。
寿命は延び、健康状態もよくなったとはいえ、体の状態やメンタル面の持続力はやはり20代や30代とは違います。
人生の後半戦で歩いていく道は、それぞれがオリジナルなものとなるのです。

人生の後半戦を歩き出すに当たっては、まずは自分の価値観を振り返って検証することが必要になります。
世間でよいとされていることではなく、自分自身のものさしを確立しなければならないのです。
自分はどうしているときに幸せを感じるのか、どのように生きていけば、人生の最後で「幸せな人生だった」と言えるのか、考えてみましょう。

一度フラットにして考える

ここで気をつけなければならないことは、50歳までのキャリアを一度フラットにして考えることです。
もちろんこれまで努力してきたこと、成し遂げてきたことは大切です。
逆に、これまでは不本意だった、満足できないことが多かった、という人もいるでしょう。
人生の前半戦がどのようなものであっても、後半戦をどうするかはまた新しいものとして作っていくことができるのです。
これまでのことや、常識にとらわれず、自分の心と対話してみましょう。
まだまだやりたいことがあると、人生の後半戦を、これまでのキャリアや価値観の発展形として歩いていくこともできます。
そうではなく、これまでのキャリアを卒業して、新しい価値観のもとに新しいキャリアを作っていくことも可能です。

自分一人の幸福から社会全体の幸福へ

いざ人生の折り返し点を迎えると、価値観の変化を感じる人が多いようです。
これまでは自分が功績を上げ、自分が報酬を得ることしか目に入らなかった人でも、人生の終わりを意識すると、自分が得ることよりも、まわりに与えることに喜びを感じるようになります。自分が豊かになるためではなく、社会がよりよくなるために自分の力を生かしたいと思うようになることも。
まわりの若い人をサポートして成長を助けることにやりがいを感じる気持ちにもなっていきます。

人生の後半戦は、一度フラットな気持ちで考えた方向性を大切にして働いていくことが大切です。
その結果、職場や働き方を変えることもあるでしょう。
また、周囲の人や家族に何か言われることがあるかもしれません。
そういうときには、自分の気持ちを正直に伝え、理解してもらうようにしましょう。
人生の後半戦の幸福度を高めるためにも、自分に近い人たちに自分の本音を共有してもらうことは大切です。
同時に、まわりの人たちの思いを聞き、気持ちを分かち合っていきましょう。

まとめ

50歳になると置かれた立場は人それぞれです。
社員ならば定年を意識する年齢ですが、経営者の場合はまだまだ働き続けることができます。
リタイアどころか、これから会社を大きくしていくことも十分可能です。
ただ、たとえ経営者という立場であっても、50歳が人生の折り返し点であることは同じです。
これから自分はどういう道を進んでいくのか、まだまだバリバリ働くのか、次の世代にバトンタッチするのかをフラットな気持ちで考えましょう。
そして、自分の価値観が見つかり、進む道が決まったら、人生の後半戦をより充実したものにしていきましょう。