さんの会社では掃除は誰がいつ行っているでしょうか?ある企業の社長は、「業績アップの秘密は朝一番の掃除」と言います。事実、毎朝掃除を行うことによって業績を伸ばしています。また、掃除とは単に部屋をきれいにするだけではなく、仕事の上でも、整理整頓が大切だと言います。仕事における整理整頓とはどういうことなのでしょうか。ここから詳しく見ていきましょう。

 

毎朝30分の掃除の秘密

会社の掃除というと、どういうイメージでしょうか?
始業前に社員が机を拭いたりして簡単な掃除をするというのはよく見られる光景です。
しかし、企業では、毎朝、始業後30分間、社員全員で掃除を行います。
給料が払われている始業後に掃除をしているのです。
窓を拭いたり、トイレ掃除をしたり、床を磨いたり。
普通、業務時間中には、いわゆる付加価値のある生産性の高い業務を行うものですが、企業ではそれだけ掃除を大切な業務と位置づけているのです
このように、上記実例企業では社内をきれいにすることにこだわっています。
そして、このような社内を美しくする活動を「掃除」ではなく、「環境整備」と呼んでいます。
社長によると、「掃除」と「環境整備」には次のような違いがあります。

掃除……室内を掃いたり、拭いたりして、ゴミやホコリ、汚れなどを取り去ること。
環境整備……仕事をやりやすくするために、「環境」を「整」えて、「備」えること。

環境整備の目的とは、単に室内をきれいにすることではなく、仕事をスムーズに行えるようにすることなのです。環境整備を行うことで、仕事が順調に進み、売上がアップすれば、それは立派な「仕事」になります。
掃除とは、このように環境の力を仕事に生かすことなのです。

オフィスを整理整頓する

「環境整備」とは、毎日の掃除だけをさしているのではありません。
仕事のために最適なオフィス環境をつくり、整理整頓することも大切な環境整備です。

ところで、皆さんは「整理整頓」の意味をどのようにとらえているでしょうか。
社長によると、「整理」とは捨てることで、「整頓」とは揃えることであり、その二つははっきりと分けて考えるべきだということです。

整理……必要なものと不必要なものを分け、徹底して捨てる。やらないことを決める。
整頓……物の置き場を決め、向きをそろえ、いつでも、誰でも使える状態を保つ。

オフィスにおける整理整頓は、まず徹底的に捨てることから始めます。
ある企業では、会社の中を一から見直し、いらないものをどんどん処分していきました。
その結果、個人の机もいらないものと判断され処分されました。引き出しの中にあった書類も、一緒に処分されました。それでも支障はなかったということです。

その後は、引き出しのない机を社員が共用で使っています。社長や営業の管理職は椅子も捨てて使っていません。

経営を整理整頓する

実は経営においても大切なことは「整理整頓」です。
経営で行う「整理整頓」とはどういうことか、具体的にイメージが浮かぶでしょうか。

経営における「整理」とは、自社でやるべき仕事と手放す仕事を判断することです。
「経営ではやることよりもやらないことを決めることが大切」 と社長は言います。

一般的に、社長は売上を伸ばし、業務を拡大するために、いろいろなことに手を出す傾向があります。
そのように特定の分野に絞らずにいろいろな方向に業務を広げていくのは、一見良さそうに見えます。
しかし、実はこれは成果が出にくいことなのです。
特に人員も経営資源も限られている中小企業が中途半端に多角化すると、結局すべてが中途半端になって、今まで順調だったことも伸びなくなってしまいます。
自社が提供できるサービスの中から、顧客のニーズがあり、利益率が高いものに絞って展開するほうが業績アップにつながるのです。
経営者にとって大切なことは、いくつもある選択肢の中から「やらないこと」を決めることなのです。
このように「やらないこと」を決めることを「戦略決定」と言います。

たとえばある企業では、「同じお客様に繰り返し売る」こと以外はやらないと決めています。
単価は安くても、リピーターのお客様に継続して買ってもらえれば、売上の予測は立てやすくなります。
単価は高くても一度しか売れない商品を扱っているほうが営業的には難しいのです。
また、商品を売るサイクルが長いものも扱わないようにしています。

このような営業戦略を立てる力、経営において「いらないもの」を見極める感覚は、もとをたどれば毎朝の掃除、そして社内の整理整頓によって養われます。
日々小さな判断を重ね、環境と心を整えることによって、経営の大きな決断もできるようになるのです。
これが、社長が毎朝の掃除を大切にしている理由です。

まとめ

今、世間では「片づけ」や「断捨離」がブームとなっています。
持ちすぎているモノを手放して、自分にとって本当に必要なものを大切にしたいと考える人が増えてきました。
「掃除が大切」という言葉はよく聞かれますが、精神論的なニュアンスで使われているのがほとんどではないでしょうか。
しかし、社長は単に精神論的なことではなく、経営を助ける具体的な方法として掃除を位置づけています。
「やらないこと」を決断するのは、経営者にとって難しいことです。
その力を養うためにも、 まずは身の回りの整理整頓から始めてみてはいかがでしょうか。