ピンチをチャンスに変える
新型コロナウイルスの発生で大きなピンチに陥っている企業は多いでしょう。新型コロナウイルスの感染力は驚異的であり、世界規模で外出が制限されている状況だからです。
このような社会では、まともな企業活動ができなくなります。ただ、多くの人がピンチに陥っているときも、柔軟な発想でチャンスを掴んでいる企業はあるのです。
今回の記事では、ピンチをチャンスに変えている企業の実例を紹介します。

 

 

1. 新型コロナウイルスがビジネス全体に与えた影響

中国の武漢市から発生したといわれる新型コロナウイルスは世界に拡散し、深刻な被害をもたらしています。
人々の生活はもちろん、各企業の経済活動においても例外ではありません。
ここでは、新型コロナウイルスがビジネスに与えた影響に焦点を当て、現状がどのようになっているのかを詳しく見ていきます。

多くの企業で売上が減少
新型コロナウイルスは、世の中にあるほぼすべての企業に影響を与えています。そのなかでも被害が深刻なのは、観光や宿泊関連の企業と言ってもいいでしょう。
新型コロナウイルスによる外出自粛制限などで、観光客が大幅に減っているためです。また、同じような理由で航空業界も深刻なダメージを受けています。
仮にこのまま自粛ムードが長引けば、さらに大きな損害になるかもしれません。
そのほかにも、街中に店舗を構えている飲食店やアパレルなどの小売業は、客数の減少や従業員の安全確保のために一時的に店舗運営を自粛するところも出てきています。

一部の企業では売上が増える
売上減少や活動範囲の縮小をする企業が多いなか、売上増加または株価を伸ばしている企業があります。その代表格がIT関連企業です。
たとえば、主にビジネス用途のビデオ会議サービスを提供するZoom、同じくビジネス用チャットアプリを提供するスラック・テクノロジーズなどは株価や業績が急上昇しています。
もちろん、すべてのIT企業が業績好調というわけではありません。しかし、Zoomやスラック・テクノロジーズは、新型コロナウイルスによる世界的な在宅勤務需要増加に応えた代表格と言えるでしょう。

 

2. ピンチをチャンスに変えた事例紹介

多くの企業が新型コロナウイルスの影響でピンチに陥っていますが、それを逆手にとってチャンスに変えている事例も多くあります。
ここでは、実際にあった10の事例を紹介します。いくつかの事例を見ていけば、ピンチをチャンスに変えることは決して不可能ではないと感じるでしょう。

食料を無料で提供して自社のイメージアップを図る
大手コンビニチェーン店や宅配業者では、自社が持つ食料を通常より安い価格や無料で提供して社会の称賛を集めました。
たとえば、ワタミ株式会社の日替わり夕食宅配サービスでは、2020年3月9日~4月3日までの平日限定で自社商品を無料提供していたのです。
このサービスは配達代金以外に負担がないので好評でした。また、ローソンも2020年3月9日~3月20日までホットミルクを半額で提供したり、学童保育施設におにぎりの無償提供をしたりしました。
このような企業活動は、利益という観点から考えると不可解に感じるかもしれませんが、自社のイメージアップという大きなプラス効果が期待できるでしょう。

漫画の無料公開範囲を拡大してファンを獲得
新型コロナウイルスの外出自粛をきっかけとして、人気漫画が次々と無料公開されたのは大きな話題となりました。
期間限定とはいえ、人気漫画が無料公開されることで多くの人々が作品を楽しんだのです。
そのなかには、今回の無料公開をきっかけとして漫画のファンとなり、これから定期的に作品を購入してくれる人もいるでしょう。
漫画の無料公開はさまざまな人に喜ばれ、自社のコンテンツのファンも増やせる理想的な形と言えます。
また、娯楽作品だけではなく「日本の歴史」のような学習漫画の無料公開は、教育的な意味でも価値のあることです。

宣材写真撮影会を無料で開催
イベント業界も新型コロナウイルスの影響で苦しいと言われていますが、この期間を有効に活用している会社もあります。
具体的な事例として、あるイベント系会社では、日頃から関係がある芸人やマジシャンなどのパフォーマー向け宣材写真撮影会を無料で開催しているのです。
パフォーマーにとっては、自粛期間を利用して新しい宣伝用写真を無料で撮影してもらえるので、嬉しい試みと言えるでしょう。
また、会社にとっても無料でサービスを提供することで、パフォーマーとの信頼関係を深められるのです。

YouTubeを利用してライブ映像を生配信
通常は会場にファンを集めて行うアーティストのライブも、新型コロナウイルスの影響で開催が難しくなっています。
そこで、代替手段として利用が増えてきたのがYouTubeを利用したライブ映像の生配信です。
新しいサービスを利用することで既存のファンに喜んでもらうのはもちろん、ニュースとして取り上げられればアーティストの知名度も上がるので一石二鳥です。
さらに、YouTubeは「視聴者ファンディング」というマネタイズ機能があるので、多少なりとも収益面のマイナスをカバーできるでしょう。

スタートアップ企業の製品アピールに活用
海外の技術系スタートアップ企業では、新型コロナウイルスをきっかけとしてロボット製品のアピール合戦が行われています。
日本ではそれほどでもありませんが、海外では新型コロナウイルスの影響であらゆるサービスの自動化ニーズが高く、特にロボットの活用が盛んになってきているのです。
一口にロボットと言っても用途や種類は多彩であり、いままで需要が低かった分野での活用も検討されているようです。
新型コロナウイルスという大きなピンチから、技術革新と新たなビジネスチャンスが生まれた事例と言えるのではないでしょうか。

オンライン形式で塾を運営して大好評
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は、教育現場にも大きな影響を与えています。
いままでの学校や塾は生徒が教室に集まって教わる形式が主流のため、外出が自粛されている期間は自習以外の勉強ができないのです。
しかし、Zoomなどのオンライン通話サービスを利用した塾の学習方法では、自宅にいながら先生に教えてもらえると好評になっています。
なかには、教育現場でこのような新しいサービスを使うことに抵抗を感じる人もいるかもしれません。
ただ、結果的に新しいサービスを積極的に利用した事業者がチャンスを掴むことになりました。逆境を跳ね返して成功に転じるためには、いままでとは違う視点を持つことが大切なのです。

VR技術で自宅にいながら旅行気分を満喫
全国各地にある旅館では、今回の新型コロナウイルス騒動でキャンセル客が相次いだところも少なくありません。
そのようななか、VRを利用してピンチをチャンスに変えた旅館があります。
VR上で旅館の天然温泉を楽しんだり、部屋でくつろいだりして旅行気分を味わえるように、自分たちでYouTubeを利用したVR動画をつくりました。
この企画をきっかけとして、旅館に興味を持ってくれた人もいたようです。さらに、ふぐ会席料理を全国へ発送するサービスも始め、数日で15セットの売上を記録するなど話題となっています。

旅館を仕事の場として開放
歴史のある旅館の部屋を貸し出し、仕事などに利用できるサービスも好評です。
外出が自粛されている状況とはいえ、ずっと家にいると精神的につらくなる人もいるのではないでしょうか。
そのようなとき、風情のある旅館で過ごすと精神的にもリフレッシュできます。また、部屋には誰も入ってこないので家以外で集中したい人にも好評です。
そのほか、必要に応じてレトロな文机レンタルなどのユニークなサービスもあります。
いい意味での遊び心と柔軟な発想が、募集から5時間程度で定員数に達したという結果につながっているのでしょう。

飲食店の空席を有効活用して集客成功
旅館だけではなく、利用客が少なくなって空席となった飲食店のスペースを有効活用する試みも始まっています。
たとえば「Telework Space」というサービスを利用して空室を登録しておけば、空いた部屋をコワーキングスペースとして貸し出せるのです。
世の中には家で集中して仕事ができないという人も一定数おり、コワーキングスペースは需要のあるサービスと言えるでしょう。
客の減った飲食店でもコワーキングスペースとして空室を貸し出せば、新しい利用者に喜んで貰えると同時に賃料を得ることもできます。

ランチメニューを復活させて顧客の呼び込み
ここまではITを活用してピンチをチャンスに変えた事例が多かったですが、アナログな取り組みでチャンスを掴んだ事例もあります。
長野市にある飲食店では、新型コロナウイルスによる売上の減少をきっかけとして、以前にやっていたランチサービスを復活させました。
以前は人手不足で行えなかったランチサービスを復活させて顧客の満足度を高めているのです。
さらに、テイクアウトサービスも並行して始めることで、家で安心して食べたいという新しい需要にも応えています。
一見地味な取り組みですが、そのときの環境に合わせてサービスを最適化させていくことが生き残る秘訣かもしれません。

 

3. 過去にもピンチをチャンスに変えていた

長い歴史のなかでは、新型コロナウイルス以外にも大きなピンチがいくつもありました。その度に、各企業はピンチをチャンスに変えて危機を乗り切ってきたのです。
たとえば、有名なハミルトンの時計は、第一次世界大戦をきっかけとして広く普及しました。
第一次世界大戦が始まる前からクオリティの高い時計をつくっていたからこそ、チャンスを掴めたと言えるでしょう。
また、LED電球も東日本大震災をきっかけとして普及したと言われています。
東日本大震災の場合、電力供給源になっていた原発の停止によって節電意識が高まり、白熱電球よりも電力消費の少ないLED電球が注目されたのです。
これはまさしく、ピンチから一転してチャンスを掴む典型例となっています。

 

4. まとめ

アイデア次第で新型コロナウイルスのピンチも乗り越えられる
各企業によって具体的な取り組みは異なりますが、新型コロナウイルスのピンチを乗り越えられる企業ほど柔軟なアイデアに溢れていると言えます。
反対に言えば、硬直化して今までの方法にこだわりすぎてしまうと、なかなか上手くいかないかもしれません。
広い視野で改めて自社を見つめてみると、意外なビジネスアイデアが思い浮かぶこともあるでしょう。