AIの活用で生産性アップ
会社の業績に伸び悩んでいる企業経営者は多いのではないでしょうか。
AI(人工知能)を用いた商品やサービスについて目にする機会も増えてきましたが、事業においても積極的に活用する経営者が増えています。AIを事業に活用するメリットとして、経営の効率化や生産性アップを期待できると多くの経営者は考えています。AIの活用には、資金力の大きな大手企業のみならず、中小企業や個人事業者にとっても大きな利点があるのです。
では、具体的にAIを活用してできることには何があるのでしょうか?
実際の活用事例を取り上げつつその点を考えてみましょう。今後はさらにAI活用が産業界全体で拡大化することが見込まれているので、今から取り組んでおくことは経営者にとってとても大切になります。
AI活用でできること
AI活用と言っても具体的に「AIに何ができるのか?」と疑問を持つ経営者も少なくないでしょう。まず覚えておきたいのは、この分野は日進月歩で次々に新たな技術が開発されて便利になるので、常に最新情報を取り入れるという心構えが重要だということです。
では、これから具体的に最新のAI技術とその活用方法について考えてみましょう。
画像解析
AIによる画像解析は既に広い分野で事業に活用されています。
たとえば、農業生産物の肥育状況を撮影した画像を基にAIが適切な農薬の散布時期や収穫時期を割り出したり、カメラ映像を基に入店する顧客の年齢層や性別などを分析して顧客ターゲットを設定したりできます。
音声解析
音声解析はスマホなどにも導入されている一般的なAI活用方法の一つです。音声をテキストデータとして分類することができるので、顧客対応の向上に役立つという事例があります。最近では音声解析に画像解析や文章解析を組み合わせた複合的なAI活用も注目されています。
自然言語処理
「自然言語」とは、分かりやすく言えば人間が使う言語という事です。コンピューターであるAIに、人間の言語を理解させ処理させるのが自然言語処理です。これを用いた産業モデルとしては、質問応答システムや機械翻訳などがあります。AIを活用することで複数の言語に対応することが可能になるので、インバウンドの増加する観光業やサービス業での積極的な活用が期待できます。
機械学習
AIによる機械学習は、産業機械や工作機械のデータを収集し分析することに活用できます。こうしたAI活用により、機械が故障する前に異常を検知・発見することができるため、ライン作業などを行う食品工場や機械産業分野で活用されています。AIの一番の強みとも言われるデータ解析をシステムに組み込むことで、産業機械の維持やメンテナンスという作業にかける人手を減らすことができるわけです。
AI活用事例
ここまで、AIを活用した技術事例について考えてきました。
では、ここからは実際にAI技術を活用したビジネス事例や取り組みを取り上げてみましょう。
AIの自然言語処理を活用した事例
ツイッター代行投稿(アイドルグループ「PREDIANNA」※すでに解散)
AIの自然言語処理を活用した事例として話題を集めたのがアイドルのツイッターをAIが代行投稿するというものです。アイドルグループ「PREDIANNA」(※すでに解散)のメンバーの一人のツィッターを、中部経済新聞のAI記者エンジンを使って代行投稿したのです。AIは過去のこのメンバーのツイートを分析して投稿の特徴を学習し、言いそうなフレーズや言葉を用いてツイートするという実証実験が2週間に渡り行われました。
AI記者(中部経済新聞、日本経済新聞、プレジデント)
文章が書けるように単語や言葉の組み合わせ方を学習させたAIに、資料を読ませて新聞記事を書かせるという試みがいくつかの新聞社で行われています。
中部経済新聞「70周年記念記事」、日本経済新聞「経済ニュース」などで、AI記者による記事が掲載されています。
また、ビジネス誌「プレジデント」はトランプ大統領に関する記事をAIで作成。「世界の終わりがやってきてもおかしくはない」という書き出しで注目を集めました。
AIの画像解析処理を活用した事例
画像内テキスト翻訳
ECサイトによる商取引は年々拡大しており、特に海外に向けた宣伝や販売が注目を集めています。そうした分野で活用されているのがAIの画像解析処理です。AIがサイトにある画像内の文字情報を検知すると、それを自動で多言語に翻訳して画像上のふさわしい場所に置き換えてくれるのです。海外では日本のアニメや食品が注目を集めているので、こうしたAIをサイトに導入することで、サイトのアクセスの増加が期待できます。
白黒画像をワンクリックでカラー化
画像解析処理にAIを活用したものとしては、白黒画像をカラー化する『colorization』があります。このサービスでは、WEB上にアップロードした白黒画像を、グレースケール画像とカラー化画像へと変換してくれます。カラー化まで約10秒~20秒という早さも特筆すべき点です。
AIの機械学習を活用した事例
業務自動化(RPA)(富士ゼロックス)
AI活用により業務自動化サービスを提供しているのが富士ゼロックスのRPAです。RPAとは、マンパワーで行っていた作業をAIを用いたソフトウェアに行わせる仕組みのことです。そうすることでマンパワーの節約や人件費の削減、ヒューマンエラーの削減効果が期待できます。
具体事例としては、設定に基づいてデータをWEBサイトから自動でダウンロードし、データ化して加工や集計を行わせることがあります。また、帳票処理をAIにより自動化することで、ミスを防ぎ効率化を図ることができます。
AI活用まとめ
これらのAI活用事例を見ても分かるように、AI活用はもはや産業界全体の流れと言うことができます。マンパワーを節約し効率アップが図れるので、生産性は大きく向上すると言えます。そしてこうした技術の活用は、マンパワーの限られた中小企業にこそ必須であるとも言えるでしょう。
ただ、「AI」と一口に言ってもその活用の仕方は分野によって大きな違いがあり、導入コストにも大きな違いがあるので、費用対効果については慎重に考慮することも大事です。
しかし、グローバル化やネットビジネスが進んでいく中で、経営者にとってAI活用は、生産性のアップに加えて新規ビジネスの開拓を図る点でも、大きな魅力と可能性を秘めた新たなビジネスツールであることは間違いありません。