や不動産など資金運用の方法にはさまざまなものがあります。そんな中、近年注目を集めているのが個人や会社で後継者不足に悩む企業を購入し、それを資産として運用していく方法です。その背景として考えられるのは、中小企業の経営者である団塊世代の多くが70代を超えて引退を余儀なくされているものの、後継者がいないという問題です。

 

会社売買案件が増えている!

あるデータでは、日本の中小企業の約7割である380万社が後継者不足、後継者不在といった問題を抱えているとしています。そうした会社を譲渡したい企業と会社を購入したい個人や企業をマッチングさせるサービスも登場しているのです。

M&Aというと事業拡大のためにするものだと考える人が多いかもしれません。そのため、これまではM&Aといえば資金潤沢な大企業がするものと考えられてきました。
しかし、近年では中堅・中小企業の間でも事業拡大はもちろんのこと、会社の資金運用という経営戦略のひとつとしてM&Aが認識され始めています。
中小企業の経営者が後継者不在という悩みを抱えている昨今は、事業拡大だけでなくさまざまな理由から会社を購入したいという企業にとって千載一遇のチャンスなのです。


 

M&Aと事業承継の違いをしっかり把握しよう

企業を購入する際には、M&Aと事業承継の違いについてしっかり把握しておくことが大切です。
M&Aとは、会社を購入するための手段です。主な方法として株式譲渡や事業譲渡、会社分割などがあります。
ある会社のすべてを購入する場合には株式譲渡、ある会社の一事業だけを購入する場合には事業譲渡を行います。
一方、事業承継とはM&Aに限らず、何らかの方法によって会社やその事業が第三者に譲渡されることです。
多くの場合、事業承継は経営者と経営者の親族の間か、あるいは親族ではない従業員の間で行われます。
しかし、何らかの理由によって後継者が見当たらずに第三者が跡を継ぐことになる場合、M&Aという方法が取られるのです。

M&Aによる事業承継には、会社を売却する経営者にとって多くのメリットがあります。
たとえば、事業承継は親族や従業員へ事業を継承する場合は経営者教育などで数年から十数年という時間を要しますが、M&Aの場合は相手が見つかれば短期間で行われます。
また、会社を譲渡したい経営者にとっては会社売却による創業者利潤を獲得できるというメリットも魅力的です。
そうしたことから、あえて事業承継せずに会社を第三者に売却したいと考える中小企業の経営者も多いです。
 

M&Aのメリットとデメリット

会社を購入したいという経営者にとって、M&Aにはメリットとデメリットの両方があります。

メリットとしてまず挙げられるのは、何よりも時間を購入できるということです。
事業拡大や自社の弱みをカバーしたい場合、通常ならば社内で新しい事業を一から始めなければなりません。
それは非常にリスクの高いことであり、同時にコストもかかります。しかし、その事業である程度実績のある会社を購入すれば、社内で新事業を始めた場合にかかる時間や人員を削減できるというわけです。
また、購入する企業が繰越欠損金を抱えていた場合、それを引き継ぐことで節税対策にもなります。

一方、デメリットとして考えなければならないことも多くあります。たとえば、購入した企業の従業員との関係です。
買い手企業と売り手企業との間で待遇に格差があったり、売り手企業の従業員が買収されたことで働き方や仕事内容を変えなければならなくなったりした場合、従業員が不満を募らせることで期待したアウトプットを得られない可能性もあります。最悪の場合、大量の従業員が会社を辞めてしまうということにもなりかねません。
購入した後で売り手企業の従業員とどう良好な関係を築いていくのかということをあらかじめ考えておきましょう。
そうしないと、M&Aによって利益を得るどころか、むしろ大きな負債を抱えてしまうことになります。