事業計画を作成する理由の1つは、事業の構想や目標などを整理し、紙面に落とし込んで明確にすることです。事業計画を立てる作業を通じて、頭の中だけで考えていたアイディアが整理され、事業の内容がより具体化してきます。
なぜ作成するの?事業計画を作成する目的
また、事業計画は事業をどのように進めていけば良いかを示す道標のような存在でもあります。一般的に、事業を進めるうえで実施すべきことは非常に多いです。事業計画を作成すれば、それぞれのアクションをどのような順番で、いつ、どのように行えば良いかが明確になってきます。
実際、起業してすぐに事業が軌道に乗り、何の問題もなく順風満帆に進むケースはまれでしょう。事前に万全の準備をしていても、いざ運営を始めてみると売上がなかなか上がらないという場合も多いものです。どのような打開策を取るべきか迷ったときも、事業計画を見返せば自分が最初に抱いていた考えに立ち戻ることができるので、次の施策を見つけるヒントになります。
さらに、事業計画を作成するもう1つの理由が、予実管理に役立つことです。実際の事業実績と当初の事業計画を見比べれば、達成率を確認しながら事業を進められます。実績が最初に立てた計画よりも下回り続けてしまうと事業の継続が厳しくなりますが、予実管理を徹底していれば、問題点が生じた場合に素早く把握できます。早めに対処することで、何らかの対策を講じなければならないときも、選択肢の幅が広くなるでしょう。
そして、事業計画書は、融資を受ける際やサポートしてくれる仲間を集める場合に必要となります。融資を受けるためには、事業計画書がないと金融機関に相談しても相手にしてもらえません。事業計画書を作成することで、関係者に事業の詳細を伝え、返済能力が十分であることを説明できます。事業にはたくさんの人の協力が必要になるので、関係者に納得してもらって、経営に必須な資金や人材を確保するためも、事業計画は非常に重要です。
作成すれば役に立つ!事業計画書を用意すると得られるメリット
事業計画書の大きなメリットは、自分が抱いているビジネスプランを第三者に説明するときに役立つことです。
事業計画書は細部まで考え抜いて作成するものなので、作成する過程で事業についての自身の理解がより深まります。
結果として、金融機関の融資審査担当者と面談する際や、投資家や取引先と交渉する際に、どんな質問にも答えられるようになるでしょう。
そもそも事業計画書がなければ融資や出資の検討をしてもらうことができず、門前払いされるだけです。
さらに、店舗に最適な物件を探す場合も、貸し主へ事業計画を提示して交渉を行うことで熱意が伝わり、好条件で契約が成立する可能性が大いにあります。第三者からの出資や協力を求めたいのであれば、魂を込めて事業計画書を作成することで、共感を得やすくなります。自身のビジネスを理解し、サポートしてくれる人の輪が広がりやすくなる点も、メリットの1つです。
もう1つのメリットは、事業戦略の軌道修正に役立つことです。事業計画書の作成にあたっては、事業の内容だけでなく、市場調査や消費者の動向、類似した製品やサービスなど、広範囲の調査が必要になります。調査の結果次第で、当初の計画を抜本的に見直さなければならなくなるかもしれません。たとえば、目標売上高が減れば、経費削減が求められますし、構想段階で問題なく見えた事業も、計画書に書き出すと矛盾が生じることに気づく場合もあるでしょう。
すべての事業内容に整合性を図るためには、試行錯誤をともなう軌道修正が必要です。
経営者は幾度となくシミュレーションを重ね、あらゆるケースを想定して最善策を検討することで、事業を進めるうえでの自信や信念を深めていきます。
このようなプロセスは、起業後に発生する予想外のトラブル回避にも有効です。