営計画書とは経営の計画書のことです。経営計画書は事業計画ともいわれることもありますが、事業をやっていくうえで自分がいる場所や目標を見失わないようにするための地図であると言えます。

 

経営計画書、事業計画書とは何か

道筋が立たない事業は他の従業員だけではなく、自分自身も会社を経営する上で前に進もうにも進めない現状を引き起こしてしまう可能性があります。

将来にわたって事業を継続させ、目標を達成するには、そこまでのルートを記した地図が必要です。
まずゴールを決めて、そのゴールに向かってどのようなルートを行けばいいのかということをできる限り詳しく見える化するのが経営計画書です。

経営計画書を作成し、ゴールとルートを決めることで成り行き任せの経営から脱することができます。

事業計画書がきちんとしたものであればある程に、周りからの信頼、信用も厚くなります。事業を展開するにはお客様や利用者がいなければなりません。

経営計画は、会社の経営プランであり、長期的で戦略的な視点をもちます。組織としてのあり方が明確に表れるといっても過言ではありません。
事業計画は、あくまでも事業のプランです。目標を達成するための 短期的で戦術的な視点をもちます。目標達成のための具体的な行動計画です。
売上予想や計画など、会社の収支に関わる情報も含まれるため、金融機関にとって一番関心のある部分になります。

経営計画書や事業計画書は、顧客や取引先との信頼関係を築くためにもとても大切な役割を果たすのです。

また、1つのゴールに向かっていく道筋が見えていると、他の社員も安心して経営者やオーナーについていく気持ちになります。

経営計画書は社長が社員に自分の考えを伝えることのできるコミュニケーションツールでもあります。
組織としての団結力を強めるためにも経営計画書と事業計画書はしっかりしていなければなりません。

曖昧な目標や道筋だと、他の社員も自分たちがどのように動いていけばいいのかということがわからず、右往左往してしまうことになります。

これは仮に1人で会社を運営しているという場合にもいえることです。
1人しかいないからといって事業計画をないがしろにしていると、自分がどこに向かおうとしているのかということがわからなくなってしまいます。
目標や道筋を失ってしまうと、迷走してしまったり、事業をどのように展開していいのかがわからなくなったりします。
また、モチベーションも下がりやすくなってしまうので、経営計画書は人数や会社の規模を問わずしてとても大切なものだと言えるでしょう。

経営計画書に書くべき内容

経営理念

経営理念は、経営者が示す、会社の経営や活動に関する基本的な考え方や価値観、そして会社の存在意義を示したものであり、会社経営の土台となる部分です。
社長の考え方や思いを社員に伝える事ができます。

ビジョン

「こんな会社にしたい」「こんな会社でありたい」といった将来実現したいことを目標として掲げたものがビジョン(大きな目標)です。
ビジョンが明確であれば進むべき方向、そこまでの距離などがわかり、そこに到達するためのアクションプランを立てることができます。

行動指針

判断や行動を行う上でどのようにすべきかを明確にした基本方針であり、迷った時の指標となります。
行動方針を作ることによって、社員の判断基準や行動が統一され、組織としてのまとまりが強まります。

経営方針

経営理念を実現するための活動の方針・方向性を示したものです。
会社として取り組むべきことを人や物、金などの視点から示します。
経営方針は「目指すべき姿」であり、社員の仕事やお客様に対する姿勢などの目標となります。指標として定めることで、会社全体の方向性も定まります。

事業ごとの方針

自社で取り扱っている商品やサービス、それらを扱う事業ごとの方針を示します。
事業ごとに方針を示すことで、他の事業との区別化をすることができ、より細かい部分での方針を決めておくことができます。
事業ごとに目標を持つことで、より細かい目標が設定され、達成までのプロセスが効率化されます。

強み・弱みの分析(外部環境・内部環境の分析)

市場規模などの市場環境や、政治環境などの「外部環境」を分析し、自社の置かれている環境を認識します。
自社の武器である強みを示すとともに、改善すべき弱みも認識している課題として示します。
強みと弱みを再確認することで、伸ばすべきところ、改善すべきところが明らかになります。

組織

組織の運営指針と評価基準、賞与について明記します。
各役職がどのように関係するべきであるかも示され、組織内の関係が理解しやすくなります。
また、役職ごとに、その人がどうあるべきかということも社員に伝えることができ、組織の統率に役立ちます。
各項目の基準などを明確に示すことで、会社と社員の信頼関係が強まります。

目標利益計画

利益計画をつくるにはまず、目標利益を明確にする必要があります。それを達成するための数値計画を練ることを目標利益計画といいます。
明確な数字で目標があることで社員のモチベーション向上につながります。

用語

各会社における用語の定義や、細かい意味を示します。これによって社員はより細かく、正しい意味で経営計画書を理解することができます。

 

経営計画書と事業計画の作り方

まずは、自社のことを知るということが大切です。長い歴史があるなら、その歴史を背景とした今後の見通しという観点から事業計画を作るのもありでしょう。
他にも、新規の会社であれば、自分の会社がこれから社会にどのような影響を及ぼすのかということを広い視野で考える必要があります。

次に、周囲のことを知ることです。
自分たち以外の競合はもちろんのこと、自分たちの周りで起こっている社会問題や、解決しなければならないことをピックアップします。
外部環境や内部環境を正しく認識することができれば自然とやるべきこと、やらなければならないことがわかってきます。
そして、自分たちがどの課題に取り組んでいけるのかということを前向きに考えていく必要があります。
このときに周囲の状況のリサーチが足りていないと事業が「自分たちさえ良ければ」という事業になってしまい、周りからの応援も得られません。

大切なのは「世の中のニーズ」を理解するということです。

また、将来の目標を定めることも大切です。目標、ゴールがなくして事業はなりたちません。
自分たちのモチベーションや、今後の事業展開ということを考えれば、自分たちがどの方向に向かい、どこをゴールとするのかということが見えてくるでしょう。
その目標もより具体的に、数字を入れたものやイメージしやすいものを掲げるということが大切です。
誰がみてもわかるゴールを作ることで自分も社員も、目標を見失うことなく事業を進めることができるからです。
より明確で具体性のある目標は、曖昧な目標よりもモチベーションを向上させます。

最後に、目標を達成するための方法を決めましょう。
目標を達成するためにはどの道を通るべきかということがわからなければ前に進むことができません。場合によっては道に迷ってしまうこともあるかもしれません。
まずは、目標をはっきりとさせて自分たちがより確実に歩みを進める道はどこだろうかということを見定めることが大切です。

また、目標は達成するために存在しますが、それだけが存在意義ではありません。達成できなかった場合には目標設定時の自分の考えと現実との食い違いを教えてくれます。
その食い違いに気づくことができれば次の目標設定時の一つの指標になります。

「今」を正しく理解し「未来」を明確に描くこと、そして「未来」を実現するための道筋を立て、進んでいくことが大切です。
「今」を誤って理解してしまうと自分が今どこにいるのかを見失ってしまい、場当たり的で、成り行き任せな経営になってしまいます。
また、明確な「未来」がなくては、目指すべきものを失い、会社の成長は鈍化してしまいます。

 

経営計画書と経常利益を活かした事業展開

経営計画書を作成することと同じくらい大切なのは、経常利益を考えるということです。

経常利益は会社の本来の実力を計るものとして重要です。
通常では起こることのない特別損失や特別収入があったときでも、本来の実力を示すためものであり、損益上の実態評価を行うためのものといえます。

自分たちの会社はこの目標に向かうことでどのような利益を生み出すことができるのかということをしっかりと計算して出すことで、数字として誰からみてもわかりやすい事業になります。
また、数字として見えることによって、多くの信頼を得やすくなります。

経常利益が多ければ多いほど会社は儲かっているということになります。

どれほど立派な経営計画書を作り出したとしても経常利益が得られないのであれば、事業は続くということはありません。
ここで大切なのは、あくまでも自分たちが利益を出すことも視野に入れながらも、社会にいかに貢献するのかをバランスよく考え、事業を展開するということです。

まとめ

経営計画書は、作成時の会社の状況を改めて認識し、「将来こうなりたい」という明確な目標をもち、それに向かって進んでいくために必要なものです。

経営計画書は以下の点で役立ちます。
・社長が社員に自分の考えを伝えられる。
・社内の制度や決まりが明文化され、社内で意思疎通がとれるようになる。
・目標が定まることで、モチベーションの向上につながる

こんな会社にしたいという願望がある方は、その願望を実現するためにも、ぜひ経営計画書を作成することをおすすめします。