人材戦略とは
新日本有限責任監査法人の調査の結果、持続可能な経営に向けた課題の一つに人材戦略がありました。
各企業への意識調査においても、人材確保を目的とした取り組みを行っている企業が70%を越えるほど、人材戦略は重要視されています。
人材戦略とは、経営戦略を実現させるため、新たな社員の確保・育成や、多様化への対応、配置方法などに関する戦略のことです。経営者は人材戦略を実現することによって、企業としてより高いパフォーマンスを発揮し、各社員のキャリアアップを成就させることができます。
また、人材戦略を成功に導くには、経営者の取り組み方も重要です。
具体的には、人材育成に関する方針を各社員へ明確にわかりやすく伝える、社員が成長できる環境を整えるなどが挙げられます。
まず、人材育成に関する方針は具体的に示さなければ、なかなか組織内に浸透しません。
さらに、方針をコロコロ変えてしまうと、社員は何を基準に成長すべきなのかわからなくなってしまいます。
明確な方針を1つに決めて実行することが重要です。
次に、企業は社員が成長してこそ大きく育ちます。
そのため、少しハードルの高い仕事を社員に与え、学びの機会や成功体験を作って成長させる必要があります。
新規事業への取り組みや、部署ごとの勉強会なども社員が成長する機会につながるため、積極的に取り入れていきましょう。
人材戦略を構成する4つのポイント
人材戦略には、採用・配置・育成・定着の4つのポイントがあります。
まず、企業が掲げる経営戦略を実現するうえで、新たな人材を採用することは大切です。
新規事業や既存事業の拡大には、各分野に適した人材を確保しなければなりません。
中長期的な視点から、必要なスキルや知識、経験などをピックアップし、それらにマッチした人材を採用しましょう。注意点として、必要な人材を集めたとしても、適切な場所に配置しなければ最大のパフォーマンスは発揮されません。そのため、将来的な計画に基づいて、各人材の持つ能力に合ったところへ配置することが重要です。
次に、育成に関しては手間を惜しまず、長い時間をかけて社員を育てていく必要があります。
社員は会社に利益をもたらす重要な資源です。社員自ら成長することだけに期待するのではなく、時間とコストをかけて計画的に人材育成制度を構築することが大切です。
短期間での成長と成果をもたらすことは難しいので、長期的に計画しましょう。
最後の定着は、社員に会社で長く働いてもらうことです。
成長した社員が会社に不満を持ってやめてしまうのは大きな損失になります。
評価制度や組織体制、労働環境などを見直して、社員の働きやすい環境作りを行っていきましょう。
人材戦略の構築方法と事例
人材戦略は経営戦略を実現させるためのものなので、まずは自社の状況や事業活動の目標値などを理解するところから始めましょう。これらを理解することで経営戦略がより明確化し、人材戦略を構築しやすくなります。
次は、経営戦略実現のため、必要な人材の能力や人数、採用のタイミングなどを決定します。
何も決めずに人材を確保しても、コストと時間を浪費してしまうだけになる恐れがあるので注意が必要です。
明確に経営戦略を実現するための必要な要員を決め、適切な人材を確保する必要があります。
経営戦略を理解し、要員を決定したあとは、企業としての将来的な理想を考えます。
これは、具体的な目標を定めるためにも重要なポイントです。
理想を考えたとき、社員の能力や人数、経営状況などに現実とのギャップを感じてしまうことがあります。
このギャップをしっかりと分析することで、これからの経営に必要な要素が何かがはっきりわかってきます。
次は目標値の設定です。理想を掲げているだけでは、将来的な目標を達成することはできません。
明確にしたギャップを意識しつつ、具体的な目標値を設定する必要があります。
目標値があることにより、人材戦略をより具体的に構築することができます。
最後は、目標値を達成するためのプロセスを設計して完了です。
組織としての能力や制約などに基づき、実行できるプロセスを設計しましょう。
述したように、有休を取得させることは経営者の義務であり、守らないと30万円以下の罰金が適用されます。
しかし、慢性的な人手不足の状態にある企業においては、有休を取得させると、その他の従業員の残業時間が増えてしまい、結果として支払う給料が増えてしまうケースもあるのです。
人件費をできる限り減らしたい企業からは、経営が苦しいという声が聞かれます。