「企業は人なり」。ビジネスで認識されているこの言葉通り、会社は人材によって伸びることもあれば、衰退することもあります。現在は、少子化の流れを受け人材不足状態が続いています。2017年の調査では、中小企業の約7割が人材不足を実感しているとも。人材が不足すれば、業務が残りの社員に振り分けられます。その結果、労働過多となって社員の重荷になってしまうこともあるでしょう。これにより、さらに人材不足が進んでしまうこともあります。
それを防ぐためにも、経営には「人材戦略」が大切です。
人材戦略とは
人材戦略とは、経営戦略・事業戦略を実現するために策定する
・社員の採用、確保
・配置
・育成
・定着
に関する戦略のことです。
人手不足による倒産は、年々増えていると言われています。
2019年上半期に、人手不足関連で倒産した企業数は191件。
前年同期と比べて3.2%増加しました。
(参照:https://www.j-cast.com/kaisha/2019/07/09362085.html?p=all)
そのため、人材戦略が最優先事項と唱える経営者も近年は多いのです。
AIやロボットによる業務効率化も進んではいます。
しかし、多額の設備投資となるため、なかなか1歩踏み出せない企業も多いでしょう。
そのような際は、人材戦略を見直すのも手段の一つです。
人材戦略と経営戦略の関係とは
人材戦略は、経営戦略を実現させるための戦略です。
そのため、経営戦略を阻害するような人材戦略は好ましくありません。
経営戦略と人材戦略のミスマッチを予防するためには、「人材戦略と経営戦略の整合性が取れているか」をチェックすると良いでしょう。
人材戦略が有効に働き、経営戦略がスムーズ展開できれば、社員のモチベーションも高まり、人材の育成や定着にも繋がるはず。
その結果、さらなる経営戦略の実現が望めます。
このように、人材戦略と経営戦略は連携しているのです。
人材戦略のポイント
採用
人手不足が叫ばれ、就職活動でも売り手市場と呼ばれている近年。
その背景から、人材戦略では採用(人材の確保)が急務となる企業も多いでしょう。
採用のポイントは、「ミスマッチを防ぐこと」です。
入社後に「思っていた働き方と違った」と、早期退職されてしまっては損失となってしまいます。
採用にはコストもかかりますが、しっかり戦略を練るようにしましょう。
配置
もちろん、それも大切です。しかし、同時に大切なのが人材育成です。
育成には時間がかかりますが、しっかり成長した社員は会社の屋台骨として活躍する可能性もあります。
そのため、
・OJT、OFF- JT
・柔軟な人事評価制度
・社員へのヒアリング
などを通して、人材育成を進めていくことを推奨します。
配置
「適材適所」という言葉があるように、社員を配置する場所によってパフォーマンスは変化します。
良くなることもあれば、急激にパフォーマンスが悪化する場合もあるでしょう。
そのため、人材戦略においては配置も重要な施策の一つ。
ただし、社員の希望通りの部署に配置することだけが良い策ではありません。
なぜなら、その部署にはその部署の「求めている人材」があるからです。
そのため、社員や現場の双方へのヒアリングが重要となってきます。
定着
「適材適所」という言葉があるように、社員を配置する場所によってパフォーマンスは変化します。
先ほども述べた通り、人材の育成には時間がかかります。
その育成中に辞められてしまっては、会社にとっては痛手でしょう。
そうならないためにも、社員の定着率を高める施策を打つことも重要です。
・給与や福利厚生
・ワークライフバランス
・人事評価
を意識した改善をし、社員が離職しない環境づくりを目指しましょう。
人材戦略の立て方
人材戦略の策定は、以下の流れで進めていきます。
1. 経営戦略を確認する
2. 経営戦略に従って人材の採用や育成等の計画を立てる
3. PDCAサイクルを回す
それでは、各項目を見ていきましょう。
1. 経営戦略を確認する
「人材戦略のための経営戦略になってしまっては、本末転倒です。
そのため、まずは経営戦略を具体的に把握することが大切。
2. 経営戦略に従って人材の採用や育成等の計画を立てる
先ほどの経営戦略に沿って、
・採用
・育成
・配置
・定着
の計画を練ります。
あとで成果を計測するためにも、目標を数字で表しておくと良いでしょう。
3. PDCAサイクルを回す
戦略や計画には、修正部分が出ることがほとんど。
そのため、PDCAサイクルを回し、改善していくことが重要です。
・社員の月間残業時間数
・新卒の離職率
・売上の伸び率
など、具体的な指標を用いたほうがわかりやすいこともあるかもしれません。
柔軟に対策を取って、改善を目指していきましょう。
まとめ
今回は、人材戦略についてご紹介しました。
人手不足が深刻化している近年では、人材戦略はとても重要なものとなっています。
企業では、経営や売上アップを重視しがちかもしれません。
しかし、そんな時こそ「企業は人なり」の言葉を思い出し、人材戦略の見直しをおこなってみてはいかがでしょうか。