経営計画は会社の根幹をなすものです。
でもそのことが分かっていても、実際にどのような経営計画を立てるべきなのかを難しく感じる経営者もいます。
ここでは、成功に導く経営計画とは何か、そしてその作成方法とはどのようなものかを考えていきます。しっかりとした経営計画は、社員をまとめ上げて統一感を生み出すのに役立ち、大きな成果につながるものであることも理解できるでしょう。
経営計画がそれほど重要なのはなぜか
経営計画とはそもそも何かという事をまず確認しましょう。
ブリタニカ国際大百科事典によれば、長期経営計画とは「企業の経営方針に基づいて立てられた、2年以上にわたる経営計画」とあります。そして経営計画に関して同辞典では「企業が経営活動について意思決定を行い、その行動予定を具体的に表現する事」と定義されています。
つまり経営計画は、経営方針や企業の今後の行動予定を明確にしたものです。
ですから経営計画がしっかりと定まっていないという事は、目的地を定めず地図も持たずに船が出航するようなものです。当然の事ながらそのような状態では、企業として成果や利益を上げることはできません。
ですから、経営計画は行動に先立ってしっかりと定める必要がありますす。
また、長期計画を立てて、経営理念や経営方針を達成するためのロードマップを作成すると共に、それに至る短期計画を作成することで、マイルストーンを決めていく必要があります。
有名なコンサルタントであった故一倉定氏は「社長の仕事は経営計画書の作成がすべて」と述べています。
経営者にとって経営計画は重要で欠かす事の出来ないポイントなのです。
そして、経営計画はこれからの行動予定を示したものなので、単なる飾りや象徴ではなく、経営陣と社員全員が意識するべきものです。
同じ予定表を共有することで全員の足並みがそろうように、経営計画が社員にも浸透することによって、経営者の意思が社員全てにも伝わり、それに基づいた行動につながるのです。
経営計画の立て方と社員との共有
ここまで経営計画の持つ重要性について考えてきましたが、次に考えるべきなのは経営計画の実際の立案方法と運用方法です。
立案方法については、先ほどのブリタニカ国際大百科事典がある程度の答えを与えてくれています。
経営計画は「経営方針に基づいて」おり「今後の行動予定を明確に」したものでなければならないのです。
また、「2年以上にわたる経営計画」ともあるように、長期計画とそれを支える短期計画の両方から成り立っています。
ですから、まずは経営方針に基づいたハッキリとした着地点を定める事が最初の段階となります。
会社の方針は何なのか、それに基づいて社員一人一人はどのような行動を取るべきなのか、経営理念に基づいてどのような規則を定めるのかを決めていきます。経営計画にはこうした事柄も記しておく必要があるのです。
また、今後の行動予定を明確にしなければなりませんので、具体的なスケジュールや数字も当然含まれて然るべきものです。
例えば、売上目標や売上額がしっかりと目標数値として掲げられなければ、社員は目標とすべきものが見えないため、モチベーションを保つのが難しくなるでしょう。
もし、目標に加えて、目標を達成した際の社員への報酬やボーナスなども具体的な数字として含めておくなら、社員のやる気や気持ちを高める事にもつながります。
長期計画に基づいた短期計画にも具体性を持った数字を含めていきましょう。
目標となる数字とそれに対する成果給を定めることで、より一層仕事はやりがいのあるものになります。
こうした経営計画は、これまでも考えたように、単なる象徴となるのではなく、全員が常に意識すべきものです。つまり全体で共有しなければ意味はありません。
せっかく経営計画に社員への成果給について言及しているのに、社員がそれを知らなければ全く波及効果は期待できません。
ですから、社員一人一人がそれを共有していつでも振り返ることができるようにすることが、運用の面では最重要課題となります。
ある会社では、経営計画を常に持ち運べる手帳サイズにしており、それが大きな成果につながっています。
これは一例ですが、社員が常に経営計画を意識しているなら、会社の一体感や仕事の質は高くなるに違いありません。そのために、会議やミーティングでは常に経営計画が「必需品」となるようにしなければなりません。
まとめ
経営計画は企業経営の根幹をなすものであり、経営者の理念や思いを伝えるものです。そのためには具体的で明確な目標となるような数字を含むものでなくてはなりません。
そして、経営者の思いが社員一人一人に明確に届くように、しっかりと共有することが肝要です。
そのようにして全社的に目標と達成すべき数字を有しているなら、同じ方向に向かって行動をとることができます。
そうすることで、「ヒト・モノ・カネ」という経営資源のすべてが、より重要な分野へと集中的に投下できるようになるのです。
言うまでもなく、それによってたとえ規模の小さな中小企業であっても、大きな成果と立場を確立することができるようになります。