株社を経営していくうえでは、売上を上げてある中小企業経営者は、「『やる気のある社員』より『居る気社員』が大切」と言います。なぜなのでしょうか?
多くの経営者ができればクビを切りたいと思う、万年ヒラ社員の「居る気社員」ですが、そこには大切な役割がありました。ここでは、「やる気のある社員」と「居る気社員」の違いや、強い会社を作る2-6-2の法則について知り、「使える社員」は自社にいるということを発見しましょう。
「やる気のある社員」と「居る気社員」とは?
そもそも「やる気のある社員」と「居る気社員」とはどんな社員なのでしょうか。言葉からイメージは沸きますが、まずその違いをしっかり押さえておきましょう。
「やる気のある社員」とは
多くの企業で必要な人材だと考えられている人です。
指示して動くのではなく自発的に仕事をこなしていきます。仕事を見つけ、自ら計画を立て、問題点がある場合はどうやって解決していくのか上司や先輩、同僚にしっかり相談もできる人です。もちろん、このような人は成果も上げやすく高い実績も残します。そのため、多くの会社では「大切な戦力」と考えられています。
「居る気社員」とは
万年ヒラ社員で一般的に会社には不必要とされる人です。
余計な仕事をせずに毎月の最低限のお給料だけもらえれば良いと考えています。そのため自ら動こうという姿勢が見受けられません。このような人は、言い訳ばかりで指示したことができないことも多く、多くの企業にとっては、「お荷物」と考えられているのが現状です。
しかし、悪く言われる「居る気社員」ですが、出世を諦めている万年ビリ社員がいることで、実は組織が丸く収まるというメリットもあります。
不必要だからと「居る気社員」をクビにすると、一生懸命仕事に取り組んでいた「やる気のある社員」がビリになり、頑張っていた社員のモチベーションが下がります。すると「やる気のある社員」が「居る気社員」に降格し、その「居る気社員」がクビになるのです。これを繰り返すことで企業内の人材は育たず、社員のやる気は無くなり、負のスパイラルが発生してしまいます。
「居る気社員」にはこのような負の連鎖を起こさないようにする役割があるから必要なのです。
強い会社を作る2-6-2の法則とは?
どのような組織でも、高い収益や実績・生産性を上げる上位のグループは20%、集団を支える平均的な母集団は60%、働かない下位層は20%に分けられるとされています。これを2-6-2の法則と言います。
これは、アリやハチの社会で確認されている現象ですが、人間社会にも当てはまると言われており、ビジネス書に引用されることが多い法則です。
下位層の「居る気社員」20%をそのまま放置して戦力外に置いておくことは仕方のないことと捉えられそうですが、そこを上手に応用し会社を活性化させているの企業があります。
ある企業での2-6-2の法則の利用方法
まず、同じレベル同士でグループを作ります。社員を、上位20%はA評価、母集団60%はB評価、「居る気社員」下位層20%はC評価の3つに分けます。
そして、ABCの評価の社員を満遍なく営業所に配置するのではなく、A評価の社員を集めた営業所とB・C評価の社員を集めた営業所というように、社員をレベル別に配属するのです。
そうすることで、A評価以上を集めた営業所の社員は、B・Cに落ちる可能性があるため、今まで以上に努力をします。また、B・C評価を集めた営業所では、「自分も頑張れば上の評価を貰える」とモチベーションが上がります。
ここでのポイントは、仕事ができる社員とできない社員を同じ土俵に立たせて戦わせても成果は出ないということです。集団の中のレベルを合わせて競わせることが最重要になるのです。
そのようなことを行わず、下位20%を切って、能力の高い人を新しく採用するだけでは、再び2-6-2に分かれてしまいます。
いくら新しい人を採用しても、結果として人が入れ替わるだけになってしまい、残り80%に優劣の差が生まれ続けてしまうのです。
「使える社員」は自社にいる社員
多くの企業が、下位20%の「居る気社員」を切り捨て、その穴を外から優秀な人材を新たに雇用し埋めたいと考えていますが、人材難の時代では希望通りの人材を雇用するのは難しいのが現状です。そのため、今いる社員を育てて「使える社員」にしなければいけません。
これからは人の採用と社員教育に投資して「使える社員」に育てることが大切になります。
社員教育をきちんとすることで、社員は「この会社は最後まで自分の面倒をみてくれる」「自分たちを大切にしてくれる」と思うようになります。そして「会社のために頑張ろう」という気持ちになり、社員の意識改革に繋がります。そして、今以上に、自分の力を発揮できるようになるのです。
今いる人材を切り捨てず「使える社員」にするためには、「居る気社員」を大切にする社員教育をすることが重要になるのです。
まとめ
「居る気社員」をクビにすると、一生懸命仕事に取り組んでいた「やる気のある社員」がビリになり、「やる気社員」のモチベーションも下げてしまいます。そのため「居る気社員」がいることには、実は組織が丸く収まるというメリットがあります。
また、2-6-2の法則を活用し、社員のレベルを考慮することも大切です。その際、仕事ができる社員とできない社員を同じ土俵に立たせて戦わせても成果は出ないため、レベルを合わせて競わせることもポイントになります。
今いる人材を切り捨てず、きちんと社員教育をすることで、「居る気社員」の認識を変え、戦力に成長させましょう。