女性活躍推進法はニュースでよく耳にする言葉です。
とはいえ実際に女性が活躍する場が増えた、働き方が変わったという印象を持っている人は多くないようです。
ここでは、2016年の女性活躍推進法の本格運用以来、女性の社会進出を国がどのように推進しているかについてお伝えします。
また、女性の活躍を判断する指針や、要職で女性が活躍できるよう推進するにはどうすればいいかなどについても触れていきます。
「女性活躍推進法」とは
女性活躍推進法の正式名称は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」といいます。その名のとおり、女性が社会で活躍することを目的とし、企業や地方公共団体に積極的に女性を雇用するように義務づけた法律です。
300名以上の従業員がいる企業や地方公共団体は、女性活躍のための数値目標を立てた行動計画の発表が義務づけられています。ただし、常時雇用人数が300名に満たない企業については努力義務とされています。
この女性活躍推進法が施行された背景には、少子化による急速な人口減少から起きた労働力不足があります。その打開策として女性の労働力が注目されたのです。女性の活躍は国にとって重要な戦力と判断され、女性活躍推進法ができたのです。
しかし、女性の就業率が向上しているとはいえ、非正規雇用者が56.6%と6割近くであることなど、女性の活躍はまだまだと言わざるを得ません。
これは、女性のライフステージの変化(結婚、出産、子育てなど)に対応できていない企業が多いことが大きく関係しており、第一子出産後、6割の女性は離職するとの統計も出ています。働きたくても思うような働き方ができなかったり、働けなかったりする女性が多いのも現状なのです。
厚生労働省の資料によると、働きたくても働けない女性は300万人もおり、たとえ働けていても非正規採用。そんな背景のなか管理職になれる女性は1割程度と国際的にみても日本の水準は低いのです。
女性に社会でより活躍してもらうためにこれらの問題を解決することは急務です。そのために、国は企業に女性活躍推進の取り組みを積極的に実施することを勧めているのです。
女性の活躍を判断する指針
女性の活躍を判断する指針を立てるためにはどうすればいいでのしょうか。
まず、以下の点について分析することで、自社における現在の女性の活躍状況を把握することができます。
・採用者に占める女性比率
・勤続年数の男女差
・労働時間の状況
・管理職に占める女性比率
これらを分析し、自社の課題を見つけ、具体的な取り組みに繋げていくことが大切です。一つ一つ見ていくことで自社の問題点が見えてくるでしょう。
課題が見つかったら具体的な目標設定に移ります。
(a)計画期間
(b)数値目標
(c)取組内容
(d)取組の実施時期
これらを盛り込み、具体的に目標設定を行います。
2~5年ごとに区切り、「採用者に占める女性比率を〇%以上とする。」などのように、具体的な数値目標を一つ以上は定めましょう。
また、完成した行動計画を労働者(社内)に周知するだけでなく、外部に公表することも重要です。
・採用
・継続就業・働き方改革
・評価・登用
・再チャレンジ(多様なキャリアコース)
これらの項目の中から1つ以上を選択して公表し、年に一度、データの更新も忘れずに行いましょう。掲載する情報は、更新時点の事業年度の前々年度までの情報とし、古い情報を乗せたままにしないよう注意も必要です。
このように行動計画を策定することには、社内での目標が明確化できるメリットがあります。また、行動計画を策定した旨を都道府県労働局へ届け出ることで、女性活躍推進法のマーク「えるぼし」の認定を受けることができます。
この「えるぼし」マークは、女性活躍の推進基準を満たし、成果を出している優良企業が、国から認定を受けた場合のみ利用できるものです。商品、広告、求人票、名刺などにえるぼしマークを入れることが可能となり、企業イメージはUPします。
それだけでなく、女性が就職を考えるうえで、「将来的に女性が活躍できる会社」としての判断材料の一つにもなります。
このようにメリットの多いマークなので、女性の活躍を推進する指針をしっかり立て、実行し取得しましょう。
要職で女性が活躍できるよう推進するには
要職で女性が活躍できるようにするには、どうすればいいのでしょうか。
・制度を整える(育休、産休など)
・評価の指針を見直す(勤務日数や時間ではなく、実績で評価を行うなど)
・多様な働き方を受け入れる(事情に応じて在宅ワーク、時短勤務など)
女性が活躍できる環境を整備するためには、企業がこれらの制度を整えることは必須です。同じ女性でも、年代によって抱える悩みや希望は異なります。そのため社内アンケートやヒアリングなどを行い、多くのデータを集計することで、女性労働者が真に何を求めているのかを把握することも大切になります。
しかし、それだけではなく、家庭内における男性も家事や育児を分担し、働く妻を支える必要があります。そのためには、保育園の整備はもちろんですが、企業も男性が育児や家事に関わりやすくする環境づくりをすることが必要になります。
「男性は仕事、女性は家庭」という性別役割分業が前提とされた社会も少しずつ変化しています。女性がどのように働きたいか、女性の働き方にどのようなサポートが可能なのか、改めて見直すことが必要なのです。