ある企業では、約7億だった年商を10倍近くの75億まで伸ばしています。業績アップの秘密は「朝一番の30分掃除」を徹底的に繰り返したこと。この朝一番の掃除を企業では「環境整備」と呼んでいます。そんな環境整備ですが、目的を理解せずに、ただ掃除をするだけでは業績アップには結びつきません。今回は「業績アップのための環境整備」についてご紹介していきます。
環境整備とは
環境整備を取り組み業績アップを実感している企業の多くの経営者は、環境整備のことを「経営を支える土台」「経営の根幹である」といいます。それは、環境整備を取り組むことで得られるメリットが、会社を強くするからです。
◯環境整備で得られる7つのメリット
・社員と社長の価値観がそろう
・「やってはいけない仕事」が一目でわかる
・小さく弱い会社こそ、強力な武器になる
・無駄な残業がゼロになる
・女性のパート・アルバイト、契約社員が一番の戦力になる
・在庫が激減し、資金繰りが劇的に改善する
・社内がキレイになり、従業員が急成長する
環境整備が習慣になれば社長と社員の価値観が揃ってきます。例えば、会社の存続に関わる危機や非常事態があった際にも、社長の決定を全社員が一丸となって速やかに実行できる組織になります。こうした文化をもたない会社の場合、社員の価値観がバラバラで結束力が弱くなってしまいやすいのです。
環境整備と掃除の違い
では、「掃除」と、掃除をはじめとする活動の「環境整備」では何が違うのかを解説していきます。掃除とは、窓や机など拭いたり、床を掃いたりしてホコリやゴミなどの汚れをとることです。つまりきれいなオフィスにするという目的です。
一方の環境整備とは、環境整備は仕事をやりやすくする「環境」を「整」えて「備」えることです。環境整備の目的は仕事をやりやすくなるように、業務に使うものを最適な位置に管理したり、不要なものを捨てたりして準備することと言えます。
また、掃除は大概お金の支給はなくボランティアで行いますが、環境整備は、朝礼終了後に計画を立てて30分間全員で行うのが決まりのため、就業時間内に行うので社員には給料が支払われるのです。言い換えれば、業務であり義務ですから社員は嫌々ながらも仕方なくやります。
環境整備の定着方法
給料を払っている業務時間にやっているとはいえ、強制することは難しいだろうと考えている社長も多いかと思います。環境整備を強制的に行わせるには、「嫌々ながら仕方なく」をさせるきっかけを作ることも重要です。以下のような3つの方法で、会社の文化として環境整備を根付かせることができます。
◯ 人から見られる「外圧」を利用する
他の企業や、お客様が来社されたときに社内見学をご案内するという機会を設けることで、社員は「まずいな」と思い、環境整備を強制的にはじめるきっかけとなります。
◯ 定期的に社長が点検を行う
毎月決められた日に社長みずからが、会社が仕事がしやすいチェックし、実施することで毎月点検日の前後に強制的に環境整備が進みます。これを繰り返すことで徐々に習慣になるのです。
◯ 環境整備を評価と連動させる
点検でチェックする日が決まっていたとしても社員は実行しません。しかし、点数が評価に連動していれば、自分の給料は環境整備のできに関連するので嫌々ながらも「やらなくてはいけない」という意識を向けることができます。
このような方法を駆使して、社員に継続させることで、
ものが探しやすくなる、誰でもできるようになるなどの業務効率化だけにとどまらず、社員が言葉を同じ定義で理解できたり、同じ考え方ができたりと強い組織に変化します。
導入企業の事例
実際に環境整備にとりくんでいる企業では、どのような変化があったのでしょうか?
株式会社関通
大阪府にある通販会社の発送代行を1999年より開始している株式会社関通は、環境整備を導入の効果もあり、創業22年年商7億の会社が7年で38億にまで成長。年間500万個出荷中する中で、出庫精度が99.995%。これは、オートメーション化された配送センター並みです。環境整備の目的を踏まえた上で、達城社長は「倉庫のショールーム化」を目標をたて、マーケティング戦略として利用したのです。
また、環境整備を通じて、人的環境整備を進めパートさんを戦力化。倉庫見学会に訪れるお客様は、「従業員が明るいこと」を決め手とおっしゃるそうです。
こうした積み重ねで業績アップにつながりました。
ドクターリセラ株式会社
大阪府にある化粧品や食品メーカーとして有名なドクターリセラ株式会社では、2007年に環境整備に取り組みはじめました。当初、不要なものを捨てる整理からはじめ1日で2トントラック2台分の廃棄物が出たそうです。
幹部社員と社長の価値観・方向性を揃えるため、年に2回、環境整備の一環として「世話人合宿」を実施しています。
環境整備を導入した成果もあり、売上は2002年2億だったものが、2019年73億まで成長しています。
まとめ
環境整備についてまとめてみましたが、毎朝のたった30分の環境整備で会社がこんなにも変わるとは驚きますよね。しかし、上記実例企業をはじめ多くの企業はこれで成長しているのです。自分の会社はどうですか?環境整備を実践すると、会社の成長につながるかもしれません。