企業が発展し成長していくためには資金が欠かせません。
自己資本だけで必要をすべて賄うのは非常に難しいため、企業規模にかかわらず大半の企業は、融資を繰り返し受けて運転資金としています。
経営を安定させるために金融機関から追加融資を引き出すためには、押さえておきたいポイントがいくつかあります。ここではその大事な4つのポイントについて解説していきます。
追加融資はどんなときに必要となる?
一つは当面の必要を満たすための「運転資金」です。
売り上げが伸びたからと言って、即座に手元にキャッシュが多く残るわけではありません。多くの場合は売掛金が増えて、むしろ当面の資金が厳しくなることが多いのです。在庫管理などでこれまで以上の運転資金が必要にもなります。
追加融資が必要になるもう一つの局面は「設備投資」です。
運転資金が短期的な必要を満たすためのものとすると、設備投資は長期的に必要となるものです。必要となる金額も運転資金と比較すると大きくなります。
まとまった費用となるため、追加融資を引き出すためにはしっかりとした準備が欠かせません。
どこから追加融資を受けるか そのメリットとデメリット
追加融資を受ける際には、どこに依頼するのかがひとつのポイントになります。
ここでは代表的な3つの選択肢について考えてみます。それぞれのメリット・デメリットを押さえておけば、いざという時に決定を下しやすくなるでしょう。
メインバンク(既存の取引がある銀行)
これまでに取引があり、ある程度内情についても知ってくれているメインバンクは、多くの場合第一候補となります。
メリットは、頼みやすく、すでに取引実績があるため提出すべき資料が限定されることです。新規に他の金融機関と取引を開始するよりもスピーディに融資を受けられる可能性が高いといえます。
しかし、メインバンクに依存度が高まりすぎるとデメリットが生じかねません。
また、多くの銀行では格付けによって融資限度額を決めていることが多いため、限度額を上回る追加融資は難しいのが一般的です。
新規の銀行や公庫
別の銀行や公庫からの融資を受けるメリットは、一つの銀行に依存するリスクを回避できる点です。
また公庫融資は利子も低いため、活用するメリットは大きいといえます。
しかし、新規の融資が決まるまでには、時間がかかるのが通例です。
ですから、急ぎの資金需要や運転資金としては利用しにくいものです。
公庫融資は申請条件が明確に定まっているため、自社が条件に適っていない場合は難しくなります。
ビジネスローン
ビジネスローンのメリットは速さと手軽さです。多くの場合インターネットから申し込みが行えますし、担保や第三者保証が不要です。提出書類もそれほど多くないため、最短1日で審査結果が知らされるものもあります。
デメリットとしては、限度額が低く貸付利率が高いことです。短期的な運転資金としては適していますが、長期のまとまった借り入れにはあまり向いていません。
追加融資を引き出すために押さえたいポイント4つ
日ごろから銀行と気持ちよくつきあう
追加融資を受ける際のファーストチョイスとなるメインバンクとは、日頃から良好な関係を保つようにしておく必要があります。
自社の状況については定期的な連絡を欠かさず、信頼を得ておくようにしましょう。
また、銀行の融資担当者も人間ですので感情を持っていることを忘れてはなりません。日頃から丁寧な言葉を使い、感謝やねぎらいの気持ちを伝えておくことで、稟議書の取り扱いや追加融資までのスピードが大きく変わることもあります。
収支の状況を誠実に伝える
銀行は慈善事業ではありませんので、明確に返済の目途がある、あるいは貸す価値があることが分からないと追加融資に応じてくれません。
ですから明確なビジョンを伝え、「いつ」「どれだけの資金」が「何のために必要か」をしっかりとプレゼンテーションできなければなりません。
それに加えて、自社にとって有利な状況だけでなく、必要な情報は誠実に開示するようにしましょう。「信頼に値するパートナー」という評価を得ると、追加融資に応じてもらえる可能性もアップします。
根拠をあげて今後の展望を伝える
先ほども述べたように、返済の目途があることを伝えることは大切です。
これは、追加融資がどのような結果を生み出すのかを説明することといえます。
その際に大切なのは、経営計画が机上の空論ではなく、明確な根拠のもとに立てられた計画であることを証拠を挙げて伝えることです。今後の収支の見通しがきちんと確認できれば、追加融資はスムーズに進んでいきます。
銀行以外の調達先も視野に入れる
必要に応じた複数のチャンネル(他の金融機関)を有しておくのも、安定した資金調達においては欠かせない大事なポイントです。
中小企業にとって日本政策金融公庫は、ぜひ押さえておきたい金融機関の一つです。
多くの場合、融資までに少し時間が必要になりますが、何より低金利で利用できるというメリットがあります。
また、速さに特化したビジネスローンも、当面の必要を賄うためには知っておきたい有用なサービスです。
その時々のニーズに合わせた選択を行えるなら、黒字倒産のような最悪のケースを招かずに済みます。
まとめ
金融機関から追加融資を引き出すことは、企業にとって存続にかかわる重要なことです。
資金調達は経営者の最大の悩みであり、避けては通れない企業経営の要の一つです。
メインバンクと友好的な関係を築くと同時に、別の選択肢も持っておくことにより、安定した資金供給を得られるように準備しておく必要があります。
追加融資のためには、その「目的」と生み出す「成果」について、いかに論理的で明快に説明できるかがポイントです。
資金に困ってから行動するのではなく、必要な追加融資を受けながら「万が一の事態」に陥らないようにするのが大事だと言えるでしょう。