経営資源を有効活用することは経営者にとって必須の事柄です。手持ちの資源をいかに上手に活用できるかが、経営者としての手腕が問われる所であり、楽しみでもあるのです。
ここでは、経営資源を最大限有効活用するための3つの重要なポイントについて考察していきます。そして特に大事な部分である「資金」をどのように活用できるかに注目していきます。
そうすることで、自社の持つ経営資源を何倍もの価値を持つものにしていくヒントが得られるでしょう。
目次
【経営資源の有効活用①】自社の経営資源をしっかり把握する
まず最初に考えておくべきなのは、自社の経営資源として現在保有しているものは何かを明確に把握することです。
経営資源としてよく言われるのは「ヒト・モノ・カネ」という3つです。
「ヒト」は言うまでもなく社員です。もう少し広げるなら提携先や人脈という意味もあります。
「モノ」は物理的に保有している物品です。店舗やオフィスそのものやオフィス用品なども含まれます。
「カネ」は現金に加えて債権や株券なども含めたお金です。
これら3つに加えて、最近では「情報・時間」も経営資源としてカウントされることが増えています。
「情報」とは実験データや自社が持つ技術などです。知的財産も広義ではこれに含まれます。
最後の「時間」という経営資源は、単純に社員や経営者が働く時間というだけではありません。商品を売り出すまでの時間や情報を仕入れるまでの時間なども貴重な経営資源と考える必要があります。
最初の段階として大切なのは、こうした5つの経営資源を現時点でどれだけ保有しているかを正確に知っておくことです。そうすれば、どこに無駄が生じているか、何が不足しているのかを分析する準備ができたことになります。
【経営資源の有効活用②】経営資源は使ってこそ意味がある
経営資源を有効活用するためには、最初の段階で考えたように、経営資源についての正しい理解と把握が必要です。
ですがそれで満足していては意味がありません。経営資源を活用する方法を、考察して実行することに取り組まなければなりません。
例えば社員が10人いる会社があるとします。しかし9人は仕事があり働いているものの、残り1人は大した仕事もせずに手が空いている時間が多いなら、経営資源を最大限に有効活用しているとはいえません。むしろその社員(ヒト)と、その人に渡す給与(カネ)と時間という3つの経営資源を無駄にしている事になります。つまり1つの経営資源を無駄にすることは、関連する別の経営資源にも悪影響を与えることになるのです。
ですから持っている経営資源は100%活用することを常に意識してください。あるプロジェクトに集中して経営資源を投入することで効果を倍加させることもできますし、逆に分散させることでリスクを軽減することもできます。いずれにしても経営資源は使ってこそ意味があるという事を覚えておくことは大切です。
【経営資源の有効活用③】経営資源として借金も有効活用する
借金をすることには日本においては否定的な風潮があります。しかし資金は動かしてこそ安定経営につながることは大切なポイントです。
近年よく聞かれるワードの一つに「黒字倒産」という言葉があります。事業は順調に売上を生み出しているのに、手元資金がショートするために倒産へと追い込まれる企業が多くあるのです。
ここから導き出せる大事な教訓は、目指すのは黒字化ではなく、経営資源である資金を回し続けることである、ということです。
そのためには必要な借金を恐れないことが大切です。借金をすることでキャッシュ(カネ)という経営資源を手にすることができるので、それを有効活用すれば利息を過度に恐れる必要はないのです。
借金をしてでもキャッシュを確保する別のメリットについても考えてみてください。
現在のビジネス界では状況が目まぐるしく変わるため、最新の情報に基づいていち早く行動する会社が勝ち組になります。そのためには「情報・時間・カネ」の3つの経営資源を有効活用する必要があります。必要な時に即座に動けるようにキャッシュを確保していなければ、情報や時間という経営資源を無駄にしてしまう可能性があるのです。借金を恐れずにいる経営者は経営資源を無駄にすることなく有効活用できるのです。
【経営資源の有効活用④】ポイントは独自性
経営資源の有効活用で覚えておきたいもう一つのポイントは、自社の経営資源の独自性を育てる事です。業界において「オンリーワンの存在」になることができるなら、安定した利益を長く得る事ができます。ですからそのために経営資源を有効活用することを意識してください。
例えば、自社が保有する「モノ」という資産を最新のものにする価値について考えてみてください。「カネ」という資源を投入して最新のテクノロジーを導入することで時短を図るなら、「時間」という資源をさらに増やすことができます。
外食産業や小売業であれば、店舗設備や外装は定期的にメンテナンスして新装することで、顧客に対して常に独自性をアピールすることができます。
また社員教育に「カネ」を投資することで、「ヒト」という資源を有効活用することも重要です。日本の小売業や外食産業においては、社員のホスピタリティが顧客にとって非常に重要なファクターになっていますので、独自性を打ち出す点で「ヒト」という資源を訓練する事には大きなメリットがあります。
ここで説明した、経営資源を最大限有効活用するために重要な3つの考え方と、それに基づいた自社経営資源の「モノとヒト」に独自性を付加することが、拡大成長路線を歩む助けになるでしょう。