材不足は、定着率の低さが原因
「売上は順調なのに、募集したい人員が中々集まらない」「採用費が計画している数字よりも大幅に上回って頭を抱えている」こんなお悩みをもっている経営者の方は多いのではないでしょうか?
採用状況やコストにばかり、目がいきがちですが、今一度定着率にも着目をしてみてください。

例えば、中途採用でスキルのある営業社員を年収400万円で1名、エージェント経由で採用したとします。エージェントへ支払う採用費の平均は年収の30〜35%なので、120万円〜140万円を採用の時点で支払うことになります。この採用費と年収分を回収するには、1年間で520万円以上の売上を出し、1年以上在籍しなければ会社にとっては利益となりません。

人材定着がうまくいかない場合にはどうしたらよいのかについて今回はご紹介していきます。

 

定着率アップのためにすべきこと

①相手の普通に合わせてコミュニケーションをとる
人が会社をやめる理由の9割が人間関係です。人間関係の中には、コミュニケーション不足や、コミュニケーションロスが含まれます。
もちろん「この上司がいやだ」「人間性を受け入れられない」といった要因もあるかもしれませんが、そう考えてしまう要因は、コミュニケーションにあるケースがあります。
自分にとっては、理解しやすくスムーズに仕事ができる説明だったとしても、同じ説明の仕方が必ずしも部下にとっても十分な説明だとは限りません。またモチベーションがあがるコミュニケーションも人によって異なるものです。
相手にとって、心地が良くスムーズで理解しやすいコミュニケーションであるか、という視点は常に重要です。

②入社後のフォローをする
採用前、入って欲しいばかりに手厚くフォローしたり、面接で相手にとっていい印象だけを与えていたりした場合、入社後に「イメージしていたのと違った」というギャップを与えてしまうかもしれません。
実は、入社後にコミュニケーションがうまくいっているか、イメージしていたこととの相違がないかなどの確認やフォローアップが重要です。これは、新卒採用・中途採用に限らず重要な項目と言えます。
中途採用の場合、ある程度の経験者だから大丈夫だろうと思う経営者も多いかもしれませんが、環境が変化するというのは人によっては想像以上にストレスに感じているケースもあり、きちんとしたヒアリングをセッティングすることがおすすめです。

③福利厚生・労働条件をよくする
採用の応募数、採用後の定着率ともに関わってくる項目ですが、社員にとっての「働きやすさ」を実現することは重要です。最近は「働き方改革」の取り組みもあり、労働条件や環境の見直し、福利厚生の充実に取り組んでいる企業も多いかと思いますが、今働いている社員にとって働きやすいかどうかは見直しが必要なケースが多いです。少し前の社員であれば、お金が稼げる方がよいと考える人が多かったかもしれませんが、最近の新入社員はお金はそこそこでいいから休みがほしいと考える社員もいます。
今の社員が働きやすいことはどんな事なのか、現場の声を理解した上で改善を実施しましょう。

④風通しがよい環境にする
質問がしづらい、わからないことをわからないといいづらい環境は、新入社員にとってはストレスに感じる場面が多くなります。また、新入社員は改善点に気が付いてくれる可能性が高いため、改善点をあげてもらいやすい環境である方がモチベーションも高くなり定着率が上がります。せっかく改善点に気が付いてくれても、古株の社員が「うちはこのやり方なんだ」と意見をつぶしてしまうような環境では、会社の改善にもならず新入社員もいやな思いをするだけです。
社歴に関係なく、意見交換ができたり、質問しやすい環境を整えることは重要な項目の一つです。


⑤新卒採用で価値観が合う人材を優先して採用する

定着率をあげ、会社の業績をアップしたいと考えている経営者も多いと思います。
そういった企業は、新卒採用で「価値観が合う人材」を採用することで中途採用を続けることに比べてはるかに効率よく人材確保を進め業績アップに繋げることができます。
新卒採用と中途採用の一番の大きな差は、社会人経験の有無によるベースにある「文化」を持っているかどうかです。わかりやすく言い換えれば、新卒採用の場合、まっさらな状態で社会人をスタートするため、会社の風土や文化が浸透しやすいと言えます。
中途採用で苦戦した経営者であれば、一度は経験があるかと思いますが「会社にとっての当たり前」を教育し同じ方向を向かせるという労力は大変なコストがかかります。
一方の新卒採用ではそんなコストがかからなず、かつ元々似ている価値観の学生を採用することで全社員が同じ方向を向いて一丸となれる組織を作ることができるのです。

 

優秀な学生よりも、風土に馴染む学生を


新卒採用におけるポイントは、1つだけです。
普通どの企業も欲しがるような「一流大学を卒業した学生」ではなく、「価値観が合う学生」を優先して採用することです。優秀な学生を採用してはいけない訳ではありません。
中小企業においては個人の能力が高いよりも、組織として生産性が高い、チームワークがよい方が成果につながります。
つまり、個々の能力が高く、学力や自頭の良い人を採用するよりも、一緒に働いて楽しい同じ価値観の学生を採用してチームの生産性をあげる方が業績アップにつながるのです。
また、組織のレベルに合わない優秀な学生の採用は、育てることができない上司と、上司と話が通じないことに嫌気がさす部下の関係となってしまい、お互いが不幸になるだけです。

 

まとめ

いかがでしたか?抜本的に定着率を改善したい場合には新卒採用を続け、会社を改善することが重要ということがお判りいただけだでしょうか。
自社の見直しのきっかけにしていただければ幸いです。