やらなければならないことがたくさんあるのに「処理能力が低い」「仕事が遅い」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。しかし、仕事において直接的な能力の高低は関係ない、とある中小企業経営者は語ります。社長は社内で行った能力テストで最下位だったそうです。しかし、「仕事の時間が足りない」と感じたことはないのだとか。そこにはどのような秘訣があるのでしょうか。
社長の能力が一番低いのに仕事が早いワケ
「エナジャイザー」(公益財団法人 日本生産性本部が実施)という能力測定テストがあります。これは単純業務や複合業務の処理能力等を測定するためのテストです。
このテストで社長は、加齢による衰えもあったそうですが、社内で最下位の成績でした。
中には、他の社員よりも倍の時間かかる項目もあったそう。
しかし、社長は「仕事の時間が足りないことはない」「仕事を片付けられなかった経験はない」と語ります。
そして、その秘訣は「やらないことを決めること」と述べています。
一見簡単なことですが、実行できていない方は意外と多いのではないでしょうか。
そこで、「やらないことを決める」ことの重要さややり方を続いて見ていきましょう。
「やらないことを決める」とは
「あれもやらないと、これもやらないと」と毎日やることに追われている。
また、経営がうまくいっていなかったり、業務がスムーズに進んでいなかったりすると、「何かを新しいことを始めないと」と考える方も多いかもしれません。
そうなると、思考がまとまりにくくなってしまい、どれも中途半端な結果となることもあるでしょう。
このようなときには、やることよりも「やらないこと」を決めて、To Doを減らす方が結果が出やすいこともあるのです。
しかし、会社全体にかかわることについて、社員レベルでやらないことを決めるのは難しいかもしれません。
そうした状況を打開するためには、社長が「やらないこと」を決定していく必要があります。
業務量が減れば、その分を別のことに使えます。
また、ゆとりをもって働くことで体調管理ができて、生産性がアップする社員もいるでしょう。
働きやすい職場環境となることも期待できます。
特に、中小企業ではお金や人員といった経営資源が限られていることも多いはず。
そこで新しいことに手を出すのではなく、いったん落ち着いて「やらなくてもよいことをやっていないだろうか」と、業務を見直すことは大切です。
社長の仕事においても「やらないこと」を決める
社長個人の仕事においても「やらないこと」を決めて余計な仕事はしないことは大切です。
・直筆の手紙
・事務処理
・会食への出席
など、日々の業務を振り返ってみると「やらなくてもよいこと」があるかもしれません。
また、中には人に任せられる業務もあるでしょう。
そうして業務を振り分けていけば、時間に余裕ができます。
その時間を、自分にしかできないことに集中しましょう。
余裕ができた分、クオリティを高めることもできるかもしれません。
優先順位を決めることの大切さ
それでは、「やらないこと」を決めるためには何が必要なのでしょうか。
1日の時間は、誰しも24時間です。
そのため、あれもこれも、すべてやるのは現実的ではありません。
そうした中で結果を残すためにも、大切なのは「自分の判断基準を持つ」ことです。
「これをするべきかどうか」その判断に時間がかかっている方は意外と多いでしょう。
中には、実際の業務時間よりも長い間迷っている方もいるかもしれません。
そうならないためにも、自分の判断基準が大切なのです。
また、優先順位を決めることも大切です。
優先順位を決めるときには、次のような緊急度と重要度のマトリクスでやるべきことを分けると判断しやすくなります。
・緊急かつ重要
・緊急だが重要ではない
・緊急ではないが重要
・緊急でも重要でもない
頭の中だけで考えていると、どうしても思考がまとまらない、という方もいるでしょう。
そのような際は、紙に書き出して、タスクを管理することをオススメします。
縦軸に重要度、横軸に緊急度をとって十字に区切り、それぞれのタスクを書き入れてみましょう。
「緊急かつ重要」なことが最優先なのは明らかですが、やらないことを決めたあとは、つい後回しにしがちな「緊急ではないが重要」なことに時間をまわすことが大切です。
何かを手にするためには何かを手放さなければなりません。
しかし、判断することに慣れていない方は、時間がかかって余計なコストがかかってしまうこともあるでしょう。
そうならないためにも、
・判断基準
・優先順位
を決めることが重要です。
まとめ
今回はある中小企業経営者の言葉を参考に、やらないことを決める重要性をご紹介しました。
「時間が足りない」「いつも忙しい」と感じている方は、もしかしたら判断基準がブレているのかもしれません。
この機会に、タスクや業務を見直してみてはいかがでしょうか。