んだんと会社が大きくなってくると、起業した時には考えもしなかったようなお金の落とし穴が出てきます。
その時にお金の使い方を誤ると、会社の経営は大きく傾いてしまうこともあるのです。
会社が大きくなっていく時、お金について気をつけなければならないこととは、一体どういうことなのでしょうか。

会社が大きくなるとどういうことが起こるか

個人事業主として起業をし、事業を始めた時のお金の流れというものはシンプルです。取引先の数も関係者も、また従業員もそれほど多くはなく、自社のお金がどのように動いているのかを、比較的簡単に把握することが可能です。
売上が増えて事業が軌道に乗り、会社が成長するにしたがって、顧客やその他関係者が増え、仕事量の増加により新しく従業員を増員しなければならなくなったりします。
そのようにして起業当初よりもずっと複雑かつ膨らんだコストは、きっちりと管理をする必要が出てきます。
これまでには必要のなかった出費が嵩んでくるので、思いもよらないところでお金を使い、貯金残高が随分減っていることに気がつく、というようなこともあるかもしれません。
事業の成長に伴い、今まで持っていたお金に対しての考え方を、変えていくことが必要になります。

会社の成長に伴うお金の落とし穴

会社が大きくなる際に発生してくるお金の問題には次のようなものがあります。

事業に関わる経費が増える
起業したばかりの頃、経営者が一人、またはごく少数で事業を経営していたときには把握できる範囲であったお金の流れは、会社が成長するに従ってどんどん大きくなっていきます。
顧客が増えることによって、売上は上がってきますが、それに比例して経費も増えます。例えば製品生産の増量、それに伴う原材料の仕入れ、人員の補填などです。
そういった費用は、事業が拡大するごとに増えていきます。

人件費が増える
会社が大きくなれば仕事の量が増え、必然的に新しく従業員を雇う必要が出てきます。
人員が一人増えるごとに必要になるお金は、想像以上に経営に大きく関わってきます。

 

・給与
・通勤手当
・社会保険
・賞与
・福利厚生費
・新しいデスクやパソコン、その他周辺機器

 

ざっと考えつくだけで、これだけの費用が新たに必要となります。その他にも、光熱費も増えることとなり、予想以上の金額のお金が出て行くことになってしまいます。
とはいえ、人を増やさないことには会社が大きくなることは難しく、人件費を出し渋り人を増やさずに事業を進めていこうとしても仕事は回らず、本末転倒になってしまいます。
 
借り入れをした場合は返済しなければならない
銀行から会社運営のための融資を受けている場合、それらは返済していかなければなりません。
返済時には、毎月決まった金額が貯金口座から引き落とされ、返済が滞ると遅延損害金を払わなければならなくなります。一度滞納してしまうと、新しく他の銀行で融資を受けようとする際に、そのことが不利に働いて審査に通らなくなる可能性も出てくるので、十分な注意が必要です。
たとえ売上が伸びていたとしても、毎月の返済で手元に残るお金が少ないということもあるでしょう。

事業を拡大するときにはお金の動きを把握

では、会社が成長するときにはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。
 
売上を増やすことだけに目を向けない
事業が軌道に乗り売上が増えてくると、ついついその売上だけに目がいってしまいがちになります。
ここで見落としてしまいがちなことが、経費も売上と同様に増えていっているということです。そして、この経費が利益を上回ってしまうと、会社は立ちいかなくなります。
売上を気にするあまり、会社のお金の動きをしっかりと把握していないと、気づいたときにはもう手遅れということもありえます。
 
黒字倒産もあり得る
経費が粗利益高を上回ると赤字になります。そのようになってしまうのには理由があり、先ほども話した「売上だけに目を向ける」ことに関係しています。
経費というものは、利益を得るための手段にすぎません。売上を上げるために販促などに経費をつぎこんでいては、最終的に粗利益よりも経費の方が多くなってしまい、会社は潰れてしまいます。

このような赤字から倒産という流れはイメージしやすいですが、実際には黒字倒産ということもあり得ます。
「黒字倒産」とは、帳簿上では黒字であるにもかかわらず、資金繰りがつかずに倒産してしまうことを言います。
売上が上がってから実際に入金されるまでにはタイムラグがあります。
何らかの理由で売掛金が入金されず、手元にキャッシュがないと、最悪の場合倒産に至ってしまうのです。
このようなことにならないためには、売掛金の回収サイクルを見直す、手元にキャッシュを保有しておく、などの対策をとっておく必要があります。
 
経費削減で利益を増やしてキャッシュを残す
事業を拡大するときに、まず考えなければいけないことが、経費をどれだけ削減できるかということです。
経費の削減を行うと、ひとつひとつの額は小さかったとしても、やみくもに売上増加を狙うよりも利益を増加させることができます。

しかし、経費削減はあくまでも利益を増やす手段であって、目的ではないことを忘れてはいけません。経費削減が目的になってしまうと、経費を削減することに固執してしまい、会社経営に必要なものまで削減してしまう可能性も出てきます。
事業拡大の中の一つの手段として経費を減らし、キャッシュを手元に置くことで、万が一に備えることが大切です。
 
会社経営では数字がわかっていることが大切
会社を経営する際には、数字をしっかりと意識することが重要です。
数字を読み、様々な経費を決定していくことで、お金での失敗のリスクを大きく下げることが可能になります。
数字を見て、自社のお金の動きを把握するとこが、安定した経営のための大切なポイントになります。

まとめ

会社が大きくなるに従って、増えてくるものはたくさんあります。
その分責任も苦労も増えますが、やりがいも大きくなっていくのではないでしょうか。
事業拡大の際にはお金の動きをしっかりと把握し、失敗のない会社経営を目指しましょう。