業にとって何が大切かと言えば、社員ではないでしょうか。
自分の力を発揮して業績を上げていく社員を育てることは、会社の発展にとっていちばん大切なことです。
変化の激しいこれからの世の中では、前例を踏襲して、言われたことを忠実に行うだけの社員では業務の発展は望めません。
自分の目で世の中を見て判断し、自分の頭で考えて結果を出す、そのような社員を育てるにはどうしたらいいのでしょうか。

 

社員教育はまずコミュニケーションから

社員教育は会社の中だけで行うものと考えるのが一般的です。
特に最近の若手社員は、仕事は仕事、プライベートはプライベートと分けて考え、仕事が終わったあとの時間まで会社に拘束されるのは嫌だと考える人が増えています。

しかし、1日の中で長い時間を共にして、さまざまな業務にともに取り組んでいく仕事は、実際にはそのように分けてしまえるものではありません。
仕事で気持ちよく協力し、結果を出していくためには、まずは社員同士が人と人としてのコミュニケーションが取れていることが前提となります。

ある企業の社長は、飲み会の席をとても大切に考えています。
会社の飲み会というと、大人数で集まって、お酒が入り、なんとなく盛り上がって終わるものであることが多いでしょう。
しかし、ある企業での飲み会は違います。
まず、社長が出席する飲み会でも、人数は最大8人。これは、お互いに話をでき、お酌をし合える人数だからです。
そして、 まず最初に社員が「自慢話」をします。
一人の持ち時間は2分。 自慢話が2分に足りなくても、2分を超えても 罰金。
そうなると、社員は真剣に話の内容を考え、時間内に収めることにも敏感になるのです。
社長も含めた全員が自分の中のポジティブな面を話すことは、場を盛り上げ、お互いの理解を深めます。
そういった時間を共有して、お互いのキャラクターをわかっていると、仕事上で何かを伝えたり、指導をしたりするときにも、スムーズに行うことができます。

ちなみに、そこで集まった罰金は、会の最後にじゃんけんをして勝った人が持ち帰るというルールになっています。その時が一番盛り上がるとか。

実務を通して仕事を教える

社員教育をする際に、上司はえてして自分の経験をもとにした精神論を部下に語ってしまうものです。
しかし、そういう精神論だけでは、部下の中には入っていきません。

部下には最初に自分で考えさせ、失敗してもかまわないので、自分で行動させるようにしましょう。
そこで失敗してしまった場合に、失敗の原因を振り返り、どうすればよいのかを一緒に考えていくようにしましょう。
その際には、部下がした仕事そのものについて取り上げ、部下の人格を傷つけるようなことは言わないのが大切です。
毎日の仕事や、飲み会などの中でよい関係が築けていれば、部下を指導する際にも、この部下を伸ばしてやろうという気持ちから言葉が出るものです。
そういう本音の気持ちは、社員にも伝わります。
上司を信頼していれば、仕事に対して改善すべき点は改め、次からは頑張っていこうと素直に思えるものです。
そうして経験を重ね、プラスの場面やマイナスの場面、様々な局面で自分で考えて行動することによって社員は育っていきます。

社員を認めて、褒める

特に経営者にとって大切なことは、社員に関心を持つことです。
社員教育は、経営者が上から社員を見下ろして自分の思い通りに動かすために行うものではありません。
社員一人一人の性格を把握し、普段頑張っていることを認めた上で、その社員をより伸ばすために行うことです。
そのためには、社員一人ひとりに合わせて声をかけていくことが大切です。

褒めるときには、具体的に何がよかったのかを明確にして伝えることが大切です。
また、大きな案件を成功させたときだけでなく、小さな成功や、毎日当たり前に行っていることに対しても、言葉にして褒めるようにしましょう。
「こんな小さなことでも社長は気にかけてくれている」と思えば、社員のモチベーションは高まるはずです。
そして、業績をアップさせるためにどうすればよいか、自分の頭で考えるようになるでしょう。

評価は公平に行う

仕事に評価はつきものですが、評価を行う前提として、評価をするにはルールを明確に示しておくことが必要です。
上司や経営者の思いつきでルールが決まり、お気に入りかどうかで評価されるようでは、社員のモチベーションを維持することは難しいでしょう。
経営者が社員に望むことがあるのならば、それを明確に示したルールを定め、それに従って仕事を評価していくこと伝えておきましょう。

そして、評価は公平に行うことが大切です。
「公平」というのは、チャンスが平等に与えられるということです。そして、その結果に応じて妥当な賞罰が与えられるということです。
明確に示されたルールに従って、納得できる評価がされれば、社員はたとえ成績が悪かったとしても、次に評価されるために自分の仕事を改善していこうという気持ちになることができます。

まとめ

「自分で考える社員を育てたい」と経営者が思っても、ただ「自分で考えろ」と口で言うだけでは社員が育つことは難しいでしょう。
まずは、社員にどのような力をつけてほしいのか、経営者自身が明確に考えることです。
そして、そのような力がつけられるように、社内の環境を整えることが必要です。
考える社員を育てるためには、実務の中で仕事を教え、失敗をしたときにも、社員が成長するチャンスだととらえて指導しましょう。
社員を育てるには、明確なルールを定めて、それに従って評価することが大切です。
評価する際には、基準を示して公平に評価することで、社員は次のステップアップへのきっかけをつかむことができるでしょう。
考える社員を育てるために、経営者が社員に関心を持ち、コミュニケーションをしっかり取っていきましょう。