人事異動は多くの企業にとって欠かせないものです。
社員を採用するときには、基本的に長期雇用を前提としているでしょう。そうして採用した社員が成長し、仕事の範囲を広げていくことで、会社を発展させていきます。
社員が成長したのならば、その能力を存分に発揮してもらうため、それに合わせて仕事をするフィールドも変化させていきたいところ。
そうはいっても、いざ異動させるとなると人間が関わることなのでトラブルはつきものですよね。
「せっかく上手くやっているのにどうして異動になるのか」そう考える社員もいるでしょう。
それでは、そんな社員のやる気をアップさせる人事異動の方法はあるのでしょうか。
何のために人事異動をするのか?
何のために人事異動を行うのでしょうか。
人事異動は原則的に「適材適所」となるように行うものです。部下の強みと弱みを見て、強みを活かせる所へと異動させるのです。
ここで注意すべき点は、その「強み」が好きや得意といったようなことだけではなく、異動させる先で必要とされる能力を保持しているということです。
また、異動をする社員本人もまだ気がついていない、潜在的に備わった能力を開発する目的もあります。同じ部署でずっと働いていては花開くことのなかった才能を、異動をさせることで開花させるのです。
それ以外にも、将来のキャリア形成のために、全く畑違いな部署への異動も行われます。このような異動は遠くない将来、必ず本人の役に立つことでしょう。
しかしながら突然、自分が門外漢であるように思われる部署への異動は社員を不安がらせるかもしれません。嫌がらせをされているのでは? と考えることもあるかもしれません。
そのような誤解がないように、異動の内示を出す際には、必ずどのような意図を持って異動をさせるのかを説明しましょう。
人事異動で社員のモチベーションを下げないために
社員の希望にそぐわない人事異動を行うと、社員がやる気を失い、最悪の場合は退職につながることもあります。
そんな事態を避けるために、日頃から社員とコミュニケーションをとることを心がけましょう。日常的にコミュニケーションを取っていれば、行き違いや思い違いなどが起こることを防げます。
その一環として、異動について事前に本人の希望を確認しておきましょう。希望を知ったからといって、100%それに合った結果にすることは難しいでしょうが、本人の望みがわかることで、今まで見えなかった可能性も見えてくることでしょう。
1番大切なことは、人事異動の際に社員に会社側の目的をきちんと説明することです。本人の意思を全く無視した会社本位の異動ではなく、互いをうまく高め合うために異動をするのだとわかれば、異動の内示が出た際には複雑な気持ちになるかもしれませんが、退職をするような事態になはらないでしょう。
会社と社員、両方にとってWin-Winの人事異動
会社にとって、人事異動とは避けては通れないものです。
会社の資源である社員を適材適所に配置することが、事業を成功させるためには必要不可欠であるからです。
特に今の時代の変化は目まぐるしく、会社の体制をその速さに適応させるためには、社内で人材を的確に異動させなければなりません。
適所に適材が配置された結果、仕事の回転速度が上がります。それだけではなく、会社の意図をしっかりと汲んだ社員は、自身の能力を認めてくれたことに喜びを感じ、モチベーションが高まっていることでしょう。そういったやる気のある人物が部署に入ってくることで、他の社員のモチベーションアップにもつながります。
さらには、異動をした社員が持っているスキルや情報が異動先の部署にも広がることで、技能の拡大、継承を行うことができます。
一方、そうして人材を移動させ部署のメンバーが抜けることで、もとの部署にいる他の社員や若い社員に今まで回ってこなかった仕事が来るようになり、それをこなすために成長をしていかなければならない状態になります。人事異動を他の社員の成長のきっかけにすることもできるのです。
中小企業では、社員数が大企業と比べて少ないので、一人ひとりをしっかりと見ることができ、長所や短所を見つけやすいと言えるでしょう。長所だけではなく、短所も長所になるように社員をうまく生かしつつ、会社にとってもメリットのある人事異動を行いましょう。
まとめ
ここまで、どのようにすれば社員のやる気をアップさせる人事異動ができるのかということをご紹介してきました。経営者として頭を悩ます人事異動ですが、会社をよりうまく動かしていくためには避けては通れないものです。
人事異動は、良くも悪くも各部署に新しい風をもたらします。社員と向き合い、コミュニケーションをとることで、よりよい風を吹き込むことが可能になります。会社のためと言って、社員の気持ちをないがしろにするような人事異動ではなく、会社も社員も双方が納得し、以後もやる気をなくさずに働いていけるような人事異動を心がけましょう。