働力不足などの問題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。少子高齢化が進み、若い人材を確保するのが難しくなっています。そこで、注目されているのが高齢者の労働力です。2021年4月には、高齢者雇用安定法の改正も決まっています。今回は高齢者雇用安定法のことや高齢者を雇用するメリット、雇用する時の注意点などを詳しく解説していきます。

 

 

1.高齢者雇用安定法の存在理由は?改正内容についても把握しておこう

高齢者雇用安定法の存在理由
高齢者雇用安定法が存在する理由の1つが労働人口の確保です。

日本は少子高齢化が問題になっています。年々15歳~64歳までの人口が低下し、65歳以上の人口割合が増加し続けています。

少子高齢化で問題になるのが、労働人口の減少です。

高齢者の中には労働意欲を持った人も少なくありません。そういう人達が定年後も働き続けられる環境を整え、労働人口を確保するために、高齢者雇用安定法が存在するというわけです。

また、高齢者の生活維持をサポートするという理由もあります。

高齢者へ支払う年金の財源確保が問題になり、年金の支給開始年齢の引き上げが行われています。

年金の支給開始が引き上げられることで、生活への不安を抱える高齢者が多くなりました。

そこで、高齢者が年金だけに頼らず、仕事をして収入を得られるような環境を整えるために、高齢者雇用安定法が存在しています。

2021年4月に改正される内容
高齢者雇用安定法が制定されたのは1971年です。

その後何度か改正されていますが、2021年4月にも改正されることが決まっています。

改正高齢者雇用安定法で注目しておきたいのが、年齢上限の引き上げです。

高齢者雇用安定法には高齢者雇用確保処置というものがあるのですが、2021年3月までのルールでは65歳までの上限がありました。

定年の年齢を65歳未満に設定している事業主の場合「定年の年齢を65歳まで引き上げる」「希望者がいた場合65歳まで継続雇用する制度を導入する」「定年制の廃止」これら3つの中から1つを実施するというのがルールでした。

これが、2021年の4月の改正で年齢上限が70歳まで引き上げられます。

「定年制の廃止」は変更ありませんが、定年年齢と継続雇用する年齢が70歳になります。

ちなみに、雇用している高齢者を定年後も雇用する方法は、新たに雇用契約を結ぶ再雇用制度や、定年で退職させずに雇用し続ける勤務延長制度などがあります。

さらに、年齢上限の引き上げに加えて2つの項目が追加されます。

追加されるのは「高年齢者が希望した場合は70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度を導入する」「70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度を導入する」という2点です。

改正以前は直接雇用が基本でしたが、社会と高齢者を結びつける項目が追加されています。これは、企業側の負担と、時代に合わせて多様な働き方ができるようにすることを考慮しているためです。

 

2.高齢者を雇用するメリット

労働力を確保できる
高齢者を雇用する大きなメリットが、労働力を確保できるということです。

日本は少子高齢化が進んでいるということもあり、労働力を確保するのが難しくなっています。そこで、労働力として期待されているのが高齢者です。

経験豊富な高齢者を雇うことで、即戦力の人材を確保できます。

若い人材を1から育てる余裕のない企業にとって、高齢者は心強い労働力になるでしょう。

人材育成がしやすくなる
人材育成に問題を抱える企業にとって、高齢者を雇用することにメリットがあります。

数十年以上の労働実績がある高齢者は経験や知識が豊富なため、それを新人教育などに活かすことができます。

長年管理職として働いてきた経験があり、部下の指導に慣れている人も多いです。

そういう人達を積極的に雇用することで、若い人達にスキルやノウハウを伝えてくれるでしょう。

ビジネスチャンスが広がる
業務経験が長い高齢者は、人脈が広い人が多いというのも雇用するメリットです。

高齢者の人脈を活かし、これまで取引経験のなかった顧客を掴むことができれば、ビジネスチャンスも広がります。

国から様々な補助を受けられる
高齢者を雇用することで、企業が様々な補助を受けられます。

国は高齢者を雇用した企業に対して、様々な助成金を用意しているため、企業側にも大きなメリットがあります。

例えば、特定求職者雇用開発助成金は、ハローワークからの紹介で高齢者を雇用した事業主に対して支払われる助成金です。

短時間労働者以外の場合は60歳以上65歳未満の高齢者を雇った事業主に対して60万円、短時間労働者の場合は40万円が支払われます。

他にも、65歳超雇用推進助成金などがあり、条件次第で様々な助成を受けることができます。

 

3.高齢者を雇用する時に注意したいポイント!

定年後に再雇用する時の注意点
正社員として働いていた高齢者を、定年後に再雇用する場合は嘱託職員就業規則を作成する必要があります。

嘱託職員就業規則は、仕事内容や給与はもちろん、何歳まで更新するかなどを決めなければなりません。

その時にいくつか注意すべきポイントがあります。

まず注意したいのが待遇面に関してです。嘱託職員だからといって、正社員よりあからさまに低い給与設定にしてしまうと違法になる可能性があります。

正社員と有期雇用社員を比較した時に、不合理な待遇差をつけることは労働契約法で禁止されているためです。

しかし、嘱託職員の中には老齢厚生年金が支給される人もいます。それを考慮して給与を下げるなど、適切な理由がある場合には違法にならないこともあります。

業務内容を決める時にも注意が必要です。

再雇用する時に、定年する前の業務と違う業務を任せること自体は問題ありません。

しかし、あきらかに職種が変わるような業務を任せることは禁止されています。

例えば、事務の仕事をしていた人に対して、再雇用する時に清掃業務を任せるなどすると、違法と判断される可能性があるので注意しましょう。

再雇用する時の労働条件で、労働者とトラブルになり裁判に発展するケースも多くなっているため、就業規則を決める時には法律を理解した上で慎重に決める必要があります。

外部から高齢者を雇用する時の注意点
外部から高齢者を雇用する時は、有期雇用になることが多いです。

有期雇用は契約社員就業規則などが適用されるため、そのルールに則って雇用しなければなりません。

有期雇用する時に一番注意したいのが、無期転換ルールに関してです。

第2種計画の中に無機転換ルールがあるのですが、雇用の仕方でルールが適用されるか除外されるかが変わります。

60歳以上の人材を有期雇用した上で、無機転換ルールの適用を除外するためにはいくつか条件を満たさなければなりません。

まず重要なポイントになるのが、67歳で定年になるというルールを正社員の就業規則に定めた上で、第2種計画の認定を受けておくことです。

さらに、有期雇用契約の更新を1回限りにする、有期雇用の契約が終了した後に正社員登用する、67歳で定年を迎えた後に1年ごと有期雇用で雇用を続けるなどしておくことで、第2種計画が適用されて無機転換ルールの適用が除外されます。

無機転換ルールの適用を除外したい場合は、ルールを理解した上で就業規則の設計を工夫しなければなりません。

 

4.高齢者を雇用することで労働力不足などの問題を解決できる!

若い人材の確保を積極的に行っている企業も多いでしょう。

しかし、高齢者を雇用することにも様々なメリットがあります。

労働力を確保しやすい、人材の育成に役立つ、国から補助を受けられるなどのメリットがあるため、高齢者を雇用することで企業が抱える問題を解決できるかもしれません。

高齢者雇用安定法のルールを理解した上で、問題解決のために高齢者の雇用を検討してみてはどうでしょうか。