収を続けるA株式会社。
その社長である72歳の現役社長は、「優秀な人は採用しない」と言います。
優秀な人材を採用した方が会社の増収増益が見込めると考える人は少なくないでしょう。
しかし、人を採用するのには、「優秀さ」よりも大切なものがあります。
ここでは、実際に存在するA株式会社の成功例からどのような人材が企業にとって必要かをお伝えします。経営者として採用のヒントが満載です。

 

増収を続けるA株式会社

A株式会社は18年連続で増収を続け、順調に成長しています。それは社内の様々な「仕組み」による企業努力の成果とも言えます。
その例が社員のモチベーションUP法です。能力別にグループ化し、第一グループと第二グループの四半期優秀者3名が幹部と共に勉強する機会が与えられる「社員全員勉強会」や、毎年2名が表彰される「社長賞」があります。この社長賞は、部門長からのノミネートだけではなく「お客様からのお礼状は1票 」と、現場の声と社内の評価両方を大切にしながら表彰される点も、社員には良い刺激になっています。
これらはA株式会社の企業努力のほんの一部であり、社員のモチベーションを維持する様々な仕掛けの一つにすぎません。
そのようなA株式会社はもちろん就活生にも人気です。
社員だけでなくパート社員、アルバイト社員も参加することができる、年4回の数名の社員と社長が行う「社長と食事会」や、社員旅行など、社内の風通しを良くするための仕掛けも多く見られます。
そのため、入社後の離職率も低く、社員が働きやすい会社なのです。
様々な工夫がなされるA株式会社は、採用する人物も一般な企業が欲しがる「優秀な人」ではありません。どのようなものなのでしょうか。詳しくひも解いてみましょう。

 

能力よりも価値観の一致を重視

A株式会社の72歳の現役社長によると、「優秀な人材(高学歴の人材)ほど、採用しない」と決めているとの事です。
能力は二の次、三の次。学歴も成績も、あくまで参考にすぎません。社長が求めている人材は、
*社長(会社)と価値観が合う人
*A株式会社の文化、社風に馴染める人
の2点です。A株式会社の採用が学歴や能力よりも価値観の一致を重視していることが分かります。
強い組織を作るためには社内が一枚岩でないといけないという考えを持つ社長は、頭がいくら良く、能力がとびぬけている社員でも、企業理念や価値観が合わなければ、戦力にならないと言います。
しかし、価値観が揃っていれば、社員全員で同じ戦い方ができるため、少しくらい個々の能力が劣っていても、組織力でカバーができるのです。

 

強い会社の秘密は価値観が一致していること

価値観が一致しておらず、優秀な人が企業にいる場合、仕事ができる人ばかりに仕事が集中し、抱えているタスクやスケジュールの数も優秀な人の方が多くなってしまいます。その結果、優秀な人ばかり仕事が多く残業が増える一方、ほかの社員は定時で上がるようになります。このような状況下では、優秀な人材のモチベーションは下がるばかりです。
それに加え、会社の目標も社員にとって魅力的に感じられなければ、会社に勤務し続ける意味を見出せなくなります。いかに福利厚生や待遇、給与などの条件が良かったとしても、会社から心が離れるのは仕方がありません。
モチベーションが下がった優秀な社員が退職した後、今まで以上の仕事量にほかの社員も苦しくなります。そのうえ会社と価値観が一致していなければ、普通の社員のモチベーションは下がり続け、退職を考えだしてしまいます。最悪の場合、優秀な人材が抜けたことから会社が人材流出企業へと変貌してしまう恐れもあるのです。

社員が優秀でなくても会社(社長)と価値観が同じであれば、このような状況になることはありません。それどころか、強い企業に成長できます。
車を例に考えてみましょう。「走ること」を会社、「エンジン」を社員と置き換えて考えます。車は、いくらエンジン性能が優れていても必ずしも速く走ることはできません。どれほど高性能のエンジンを積んでいても、アクセルを踏み込まなければ、速く走ることはできません。
反対に、普通のエンジンしか積んでいなくても、「アクセルを目いっぱい踏み込む」ことができれば、スポーツカーも周回遅れにする走りが可能です。ここでの「アクセルをめいっぱい踏み込む力」とは会社と社員の価値観の一致になります。
A株式会社の社員は72歳の現役社長と同じように考え、同じように行動できるからこそ強い会社に日々成長できているのです。

 

中小企業でこそ価値観の一致が必要

中小企業では、社長の考えが社員にゆきわたり、同じように戦えることが大切です。なぜならば、中小企業は、戦力を分散して持っておくことができません。ライバルとの戦いは総力戦になります。そのため、しっかり方針を共有し、社員の価値観を揃えておく必要があります。
採用において、大企業に比べて知名度やブランドなどで中小企業は不利なのも事実です。だからこそ、採用に当たっては、自社や社長の価値観を改めて確認し、それをもとに採用していくことが大切になっていくのです。

 

まとめ

採用する人物は、一般的な企業が欲しがる「優秀な人」ではなく、会社と価値観が一致していることが大切です。
中小企業は、戦力を分散して持っておくことができないため、会社(経営者)との価値観の一致こそがライバル会社と総戦力で戦う一番の力になるのです。