社全体の経営方針や目標を立てるうえで、なくてはならないものが「事業計画」です。企業が順調な経営を続けていくために欠かせないものですが、実際には事業計画書を作成していないという企業も少なくありません。まずは基本に立ち返り、事業計画とはどういったものなのか、何のために立てるものなのかという点を見ていきましょう。

 

計画的な経営に欠かせない「事業計画」とは

事業計画とは?
事業計画とは、企業が事業の目標達成を目指して作成する具体的な行動計画のことです。1~5年など、比較的近い将来までの目標や経営戦略などを記します。事業を進めるにあたり、方針や目標はある程度経営陣で共有しているものの、明確な事業計画書は作成していないという企業もあるでしょう。事業計画はあくまでも計画であり、経営の中でどうせ変わっていくものだから作成は不要と考えている経営者も珍しくありません。しかし、事業計画は、事業の展開について具体的な道筋を把握できるだけでなく、計画と結果を分析することで課題を明確にし、将来的な事業計画の精度を高めるためにも役立つものです。事業計画の精度が高まれば、より順調な経営が期待できるでしょう。

まさに、目標に向かって企業がたどるべき道しるべといった存在ですね。経営陣が思い描いている事業展開をより確かなものにするためにも、毎年事業計画を作成し、会社全体で共有することをおすすめします。

事業計画はいつ必要になる?
事業計画は毎年作成することが望ましいですが、特に重要となるのが「起業するとき」と「融資を受けたいとき」です。起業したばかりの時期は経営にも慣れておらず、失敗を繰り返してしまうことも少なくありません。起業前に自分が想定した通りに物事が進まず、焦りのあまり誤った経営判断を下してしまう恐れもあるでしょう。このような事態を防ぐためにも、起業するときにはしっかりと事業計画を立てておいたほうが良いのです。詳細な内容でなくても構わないので、起業の目的や事業内容、将来的な事業展開について、具体的なスケジュールも考えながら事業計画書を作成していきましょう。

また、運転資金などを得るために、金融機関へ融資を申請するときにも事業計画書は必要です。金融機関は、融資した資金に利息をつけて返済してもらうことで利益を得ています。返済が滞れば金融機関自身が損失を出してしまうため、融資先に十分な返済能力があるのか、無謀な事業展開を考えていないかなど、融資の可否を慎重に審査しなければなりません。このため、精度の低い事業計画書を提出すると希望した融資を受けられず、経営が行き詰ってしまう可能性もあるのです。スムーズに融資を受けるには、実現性が高く説得力のある事業計画書の作成が欠かせません。

いざ融資が必要になってから慌てて事業計画書を作成していると、満足な内容のものを準備できない可能性もあるでしょう。金融機関を納得させられるほど精度の高い事業計画書を作成するためにも、毎年事業計画を立てて経験を積むことが大切です。

事業計画を立てるメリットは?
融資の際に役立つという以外にも、事業計画を立てるメリットはいくつもあります。たとえば、「経営指針を強固かつ明確に持てる」という点。事業計画をまったく立てずに事業を展開するということは、地図を持たないまま見知らぬ土地を旅するようなものです。場当たり的な経営になることも多く、予想外の事態が起きたときにうまく対処できずに利益が落ちてしまう恐れもあります。事業計画により明確な経営指針を持つことで、計画的な経営や対処が可能となり、経営目標の達成も近づくでしょう。

事業計画の内容とは?具体的な計画の立てかた

こうした残業を削減するためには何かしらの対策が必要です。では、どんな対策を行えばいいのでしょうか。

しっかりとした事業計画を立てるには、自社の事業内容や利益の見込みなどをできるだけ具体的に記載していく必要があります。ポイントを押さえていない事業計画は精度が低くなりがちで、期待したメリットが得られない可能性もあります。せっかく事業計画を立てる以上、最大限に活用したいですよね。次は、説得力のある事業計画の立てかたを見ていきましょう。

1.事業計画の全体像を説明する
事業計画はあくまでも計画ではありますが、とても実現不可能と思われるような無謀な計画を立てるのはおすすめできません。まずは、さまざまな情報をもとに、企業が目指す目標や何がやりたいのかなど、根拠に基づいた全体的な構想をまとめることから始めましょう。たとえば、事業の概要やコンセプト、3年後など具体的な年数を用いた将来的なビジョン、この計画が成功すると判断した社会的背景やマーケットの現況など、さまざまな情報の説明を行います。競合他社の動向やターゲットとなる顧客のメリットを分析するなどして、自社の強みをアピールするのも良いでしょう。

なお、アピールポイントばかりではなく課題も正直に記載し、それをどのように解決していくのかなども記載すると効果的です。

2.事業内容を明確に記載する
全体的な構想がまとまったら、より具体的な事業内容の説明に入ります。取り扱う商品やサービスの詳細について、予定している販売チャネルやプロモーション戦略などもあわせて説明します。事業計画では利益を出すことが大きな目標となるため、アピールする事業内容が継続的に利益を出せるビジネスモデルだという点もしっかり説明しなければなりません。取引内容や利益を回収する仕組み、ビジネスパートナーや顧客など、関連するものをフローチャートで表現するとわかりやすいでしょう。

また、仕入や設備、人員などが関わる財務計画についても、できるだけ具体的に記載することが大切です。「誰が・いつ・どこで・何を・どのような目的で・どうやって・いくらで」という細かい視点で決め、将来期待できる利益額を数値化しておきましょう。

3.資金計画を立てる
事業内容の詳細について説明したら、次はその事業を実現するための資金計画を検討します。どれほど魅力的な事業計画を立てていても、肝心の資金が足りなければ説得力は低下してしまいます。金融機関は資金計画をもとに「本当に融資を返済できるだけの資金があるのか」という点を審査するため、融資の申請を考えているなら特に注意したいポイントです。事業に必要な資金について、どこから調達するのか、いくら準備できるのかなどをハッキリと示しておきましょう。現在の損益計算表や、計画した事業が軌道に乗った後の収支予測もあわせて記載しておくとより効果的です。

事業計画を立てる際の注意点

“事業計画を立てる際には、いくつか注意しておきたいポイントもあります。より良い事業計画にするためにも、どのような点を押さえておけば良いのか見ていきましょう。

事業計画と経営計画の違いを理解する
事業計画と良く似たものに、「経営計画」が挙げられます。一見すると同じような意味に捉えがちですが、実際には微妙に異なっているので注意が必要です。まず、経営計画とは、企業が目指す将来の姿そのものを指します。長期・中期・短期経営計画をもとに、全社的な経営方針や理念などを決めるためのものといえるでしょう。これに対し、事業計画は経営計画を達成するために必要な、「短期的」「部門的」「戦術的」視点から立てる具体的な実行計画です。どちらも企業の成長に必要な計画ではありますが、事業計画はより具体的、かつ実現可能性の高い計画を立てる必要があると覚えておきましょう。

誰が見てもわかりやすい内容を心がける
事業計画を作成する際、つい自分たちが慣れ親しんだ専門用語やシステムなどを用いて説明することも少なくありません。しかし、事業計画書は金融機関を始め、ビジネスパートナーや投資家など社外の人が見ることもあります。社外の人が見たときに内容がわかりにくいと、せっかく魅力的な事業計画を立てても正しくアピールすることができません。社外の人へ見せることを前提としている場合は、誰が見ても理解できるよう、簡単な言葉を使うなどわかりやすい内容にすることが大切です。

事業計画の作成で満足してはいけない
事業計画を立てる場合、企業の現状説明をはじめ、将来のビジョンや資金計画などさまざまな情報を盛り込む必要があります。作成にはかなりの時間と労力がかかり、いつの間にか「素晴らしい事業計画を完成させること」が目的になってしまうこともあります。事業計画は、計画した事業を実際に展開していくためのツールであり、計画を立てるだけでは意味がありません。計画を立てて満足するのではなく、会社全体でその内容を共有し、計画を実行して企業の成長を実現させていきましょう。

うまくいかなかった場合の撤退戦略も必要
事業計画で将来のビジョンを考えたとき、「資金繰りが悪化している」「新規事業が失敗した」など、ネガティブな予想を立てる経営者は少ないでしょう。しかし、ビジネスの世界では何が起きるかわかりません。事業が計画した通りにうまくいかない可能性も十分にあるため、万が一の事態に備えた対策を考えておくことも重要です。事業がうまくいかなかった場合、「事業計画を達成しなければ」と固執していると、ダメージが大きくなって経営自体が行き詰ってしまう恐れもあります。最悪の事態を避けるためにも、うまくいかなかった場合の撤退戦略を事業計画に含めることも大切です。