業が安定して利益を得るためには、顧客目線の経営を続けなくてはなりません。そこで、「カスタマーサクセス」という概念が重要視されるようになってきました。ただし、カスタマーサクセス実現のためには課題も多く、企業は真剣に対策を立てていく必要があります。この記事では、カスタマーサクセスの課題と対策を解説していきます。

 

1.カスタマーサクセスの意味は?重要視されるようになった背景

語源は英語の「customer success」であり、直訳すれば「顧客の成功」となります。
そして、日本語でもおおむね、直訳と同じような意味で使われてきました。
「利益を出す」「サービス登録者を増やす」とはあくまでも企業にとっての成功です。
「顧客第一主義」という言葉があるように、ビジネスでは顧客にとっての成功を考え、そこにいたるまでのサポートをすることが大切です。
カスタマーサクセスは専門の部署や担当者を設けている企業があるほど、ビジネスシーンでは無視できない概念となりました。

なお、同じく顧客目線を考えて企業が取り組むべき概念として「カスタマーサポート」も挙げられます。
ただ、カスタマーサクセスが成功そのものを指しているのに対し、カスタマーサポートは成功へと導くために顧客を助けるプロセスを意味しています。
現実世界で、カスタマーサポートはコールセンターやホームページの問い合わせ窓口といった形で顧客に提供されることが少なくありません。
一方、カスタマーサクセスはより能動的な取り組みを継続することで実現するのが大きな違いです。

カスタマーエクスペリエンスもカスタマーサクセスに近い概念だといえるでしょう。
ただ、カスタマーエクスペリエンスとは「顧客体験」を意味する言葉です。顧客が特定のサービス、商品と関わったとき、獲得した全ての体験がカスタマーエクスペリエンスです。
その中には当然、ネガティブな内容も含まれます。
企業は顧客の体験を少しでもポジティブに改善していくことで関係性を強化し、ロイヤルティを育めます。
それに対して、カスタマーサクセスとは顧客が獲得した成功だけを表しているのです。

カスタマーサクセスが重要視されるようになった背景には、企業同士の「競争の激化」があります。
市場が成熟し、似たようなサービスや商品があふれている時代では、顧客はサービス力で購入先を決めるようになります。
企業にとって、良いモノを作って販売するのは大前提となりました。
価格競争だけでは利益を減らすだけなので、アフターフォローなどのサービス力を訴求し顧客を獲得することが不可欠です。
そこで、カスタマーサクセスを目安にして顧客の反応を「見える化」し、経営戦略を組み立てる企業が増えてきました。

 

2.カスタマーサクセスをなかなか実現できない!企業が直面する主な課題

まず、顧客満足度が高いにもかかわらず、利益が伸び悩んでいる企業は珍しくありません。
すなわち、こうした企業は真の意味でのカスタマーサクセスを提供できていないということになります。
ただ、モニターテストなどで顧客の反応をリサーチしているときは肯定的なデータが返ってくるので、何を修正すればいいのか分からなくなってしまうのです。
そのような中でも、企業の欠点を見つけ、即時に改善案を考えることはカスタマーサクセスを目指すうえでの必須事項です。

次に、カスタマーサポートとの差別化が上手くいかないケースもあります。
カスタマーサポートでは、顧客のクレームや疑問を受け付けながら、効率的に満足度を高めていこうとします。
その業務は大部分が受け身的であり、顧客からのコンタクトを待っている状態だといえるでしょう。
しかし、カスタマーサクセス実現のためには企業側から顧客へと働きかけていかなくてはなりません。
ただ、提案材料が分からないまま顧客とコミュニケーションをとっても、芳しい成果にはつながりにくいのです。

既存の営業形態から、カスタマーサクセスに主軸を置いた仕組みに移行できていない企業も見られます。
具体的には、これまでのビジネスではいかに多くの顧客を獲得し、売上を伸ばすかが中心でした。
そのため、どの企業も購入前の顧客を狙った営業に力を入れてきました。
しかし、サブスクリプションなどの台頭により、ビジネスでは顧客の継続率が注目されるようになります。
購入前だけでなく、購入後のアフターサポートによるカスタマーサクセスにも重きを置かなければ利益を増やせない時代へと突入したのです。

しかし、これまでの営業形態がしみついている企業ほど、カスタマーサクセスをどのように実現させるべきなのか、見失ってしまう傾向があります。
実際には、カスタマーサクセスとは複数の指標の組み合わせによって可視化できる概念です。
ただ、それらの指標の中には、購入前の顧客に営業をしていただけでは重要視されてこなかったものも含まれています。
企業がカスタマーサクセスに主軸を置くのであれば、新しい指標を正しく導入することは不可欠だといえるでしょう。

 

3.課題への主な対策は?カスタマーサクセスの指標を紹介

カスタマーサクセスに関連する課題を解決するには「KPI」を慎重に設定することが大前提です。
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績指標」を意味します。企業経営では、ある戦略に対する結果をさまざまな指標にして確認することが大事です。
その中でも、大きな目標に直接関係する指標のみをKPIと称します。
この場合、カスタマーサクセスに影響するデータがKPIに該当します。

カスタマーサクセスで重視するべきKPIはまず、「解約率」と「顧客推奨度」です。
解約率とは、全ユーザーが特定のサービスを解約してしまう確率を表したものです。
会員制サイトやメールマガジンなどを解約するユーザーの割合が大きいと、「解約率が高い」と表現されます。
次に、顧客推奨度は、顧客が知人に対し、あるサービスや商品をすすめたいと思うかどうかを指標化したデータです。
そして、これら2点は顧客満足度が高いにもかかわらず利益が伸びないケースの原因を考える際に役立ちます。

どれほどサービスに満足していても、他社により大きな魅力を感じればユーザーの解約率は上がるでしょう。
また、「どちらかといえば満足している」程度のユーザーが多くても顧客満足度は高くなるものの、心からサービスに思い入れがなければ顧客推奨度は向上しません。
いずれも、カスタマーサクセスを計測するうえで欠かせない数値として多くの企業から重宝されています。

そして、「オンボーディング完了率」も大事な指標です。
オンボーディングとは、顧客がサービスを導入してから「軌道に乗った」と実感できた状態です。
もしもサービス加入者が大勢いても、オンボーディング完了率が低いと実用性やアフターケアに問題があるといえるでしょう。そこで、企業はオンボーディング完了率向上を目指しながら、継続的に顧客へのアプローチを続けなくてはなりません。こうした能動的な取り組みの積み重ねがカスタマーサクセスへとつながっていきます。

そのほか、企業サイトの「アクティブユーザー数」や、アプリなどで売上と大きく関係する「機能の利用率」なども、カスタマーサクセスの指標になりえるでしょう。
これらの指標は企業の課題をはっきりデータで表すだけでなく、改善の方向性まで示してくれます。

 

4.カスタマーサクセスを重視して継続的な成功を目指そう

サブスクリプションを利用する顧客が増えるなど、ビジネスシーンは時代とともに変化しています。
そのような中、カスタマーサクセスは企業が経営戦略を立てるうえで重要な考え方となるはずです。
カスタマーサクセスには「解約率」「顧客推奨率」をはじめとした指標があります。
これらの指標をしっかりとチェックしつつ、継続的に利益を生み出す方法を探りましょう。