本の企業は、会社法と呼ばれる法律によって経営のルールが定められています。経営者は、このようなルールについて常に新しい情報を入手しておく必要があるでしょう。この記事では、経営者が知っておきたい改正会社法について解説をします。改正会社法がどのような法律なのかや押さえておきたい法律の重要ポイント、施行前に必要な準備などを紹介しましょう。

 

1.改正会社法って?

改正会社法は、従来からある会社法を一部改正した法律です。この法律の内容については、法務省でも公式のウェブサイトやパンフレットなどを通じて広く周知しています。

改正会社法は令和元年12月4日に成立
改正会社法は、令和元年の12月4日に国会で正式に成立しました。

法律が公布されたのは、令和元年の12月11日です。法務省のパンフレットでも紹介されているように、改正会社法の目的は株主総会の運営、取締役の職務の遂行を適正化することです。

この法律の施行によって、企業のコーポレート・ガバナンスが向上することが期待されています。

経営を管理するコーポレート・ガバナンスは、国内や国外の投資家から選ばれる企業になるためにも大切なことと考えられています。海外では、株主の利益に繋がる経営ができているかどうかが、投資をする企業を選ぶときのポイントになる傾向があります。

外国人の投資家をしっかりと獲得するためには、日本の企業もコーポレート・ガバナンスをより徹底する必要があるわけです。

多くのルールは令和3年3月1日に施行予定
改正会社法の施行予定は、令和3年の3月1日です。

令和3年1月現在、役員報酬などの取締役の報酬、費用など、多くのルールはこの時期から正式に施行される予定です。

改正会社法の場合、成立してから実際に施行されるまでに1年以上の期間が設けられています。

そのため、企業でも新しい法律を意識して、少しずつ社内制度の変更などが進められるようになっています。

法律が施行されてから慌てないためにも、経営者は早めに改正会社法の内容をチェックしておきましょう。

一部のルールは令和4年に施行予定
改正会社法のうち、一部のルールは令和3年からさらに1年後の令和4年に施行される予定です。

この時期に施行が予定されているのは、株主総会資料の電子提供制度に関する法律などです。経営者は、段階的に会社法のルールが変わっていく点も理解しておきましょう。

 

2.改正会社法の重要ポイントは?

改正会社法では、従来の会社法に様々な変更が加えられています。

株主総会のルールの変更点
改正会社法で大きな変化が見られたのが、株主総会に関するルールです。

この法律では、株主総会資料の電子提供制度が新たに登場しました。法律が施行される以前は、郵送などの書面で株主総会資料が各株主に提供されるのが一般的でした。

法律が施行された後は、ウェブサイトに株主総会資料を掲載し、インターネットを通じて内容を株主に周知することができます。

ちなみに、株主総会資料の電子提供は、株主総会の日の3週間前の日、もしくは招集の通知を発した日のいずれか早いほうの日までに行うことが改正会社法では定められています。

電子提供制度の創設に伴い、インターネットの環境がない株主が、株式会社に資料の書面交付を請求できる制度も新たに設けられました。

改正会社法には、株主提案権の濫用的な行使を制限するルールも新たに盛り込まれています。この法律では、同一の株主総会に株主が提出できる議案の上限が定められました。

取締役のルールの変更点
取締役に関するルールでは、大きくわけて3つの点が変わりました。たとえば、取締役の報酬についての変更です。改正会社法では、これまで不透明になりがちだった取締役の報酬をより明確にするためのルールを設けています。「株式や新株予約権の付与に上限を定める」などは、改正会社法で新たに盛り込まれたルールの一例です。会社補償や役員のために締結する保険に関するルールも、定められました。このルールには「手続きを明確にすること」などが盛り込まれています。

この他、改正会社法では社外取締役の活用に関するルールが新たに登場しました。社外取締役の設置の義務付けや、社外取締役への業務執行の委託に関するルールが設けられたことなどは、特にチェックしておきたい点の一つです。また、改正会社法では従来の会社法にあった成年被後見人の取締役等の欠格条項を削除しています。改正後は、成年被後見人でも取締役になれる可能性がでてきました。

その他のルールの変更点
改正会社法では、社債の管理に関するルールの見直しや株式交付制度の創設なども行われました。

社債を管理する仕組みとして新たに導入されたのが、社債管理補助者制度です。

社債管理補助者制度は、銀行や弁護士法人などが補助者となって倒産の手続きなどをサポートする制度です。

株式交付制度では、買収会社が被買収会社をよりスムーズに子会社化できるようになることを目指します。

この他にも、改正会社法には支店の所在地における登記の廃止や、会社を設立するときの印鑑の提出義務の廃止といったルールが新たに盛り込まれました。

 

3.改正会社法の施行に当たって準備しておきたいことは?

改正会社法では、新たに様々な制度が導入されました。

このような法律の施行後に経営をスムーズに進めるためには、企業法務の担当部署でも法律の内容について正確に把握しておきたいところです。

施行の時期までに制度を導入できるように準備をしておくことは、特に重要です。会社の規模、業種を問わず必要な準備は色々ありますが、中でも重要なのが次の3つです。

取締役の報酬に関するルールを明確にしておく
改正会社法では、上場会社の取締役の報酬に関するルールをより明確にしておくことが求められています。

企業内での役員報酬の決め方が曖昧だった場合は、より具体的に方針を定めておく必要があるでしょう。

株式や新株予約権を報酬とする場合に備えて、取得できる上限の数を決めておくことも必要です。

社外取締役の選任をする
社外取締役をしっかりと選任しておくことは、海外投資家の信頼を得るうえでも重要な準備です。

このような準備をしている企業は「コーポレート・ガバナンスを徹底している」というメッセージを株主や自社の社員に発することができます。

同族会社の経営、取引では、社外取締役のサポートが不可欠になるケースも少なくありません。

業務委託をスピーディーに行うためにも、早めに信頼できるメンバーを選任しておくのが良い方法です。

株主総会資料の電子提供の準備
株主総会資料の電子提供の準備も、法律が施行される前に早めに行っておいたほうが安心です。

改正会社法では、資料の提供を開始する日が明確に定められています。

電子提供の場合は、紙の資料のように印刷や送付の手間はかかりません。

ただし、電子資料の作成やアップデートなどがスムーズにできないと、予想以上に作業に手間取ることも考えられます。インターネットの環境がなく、資料の電子提供が難しい株主の把握も早めに行っておきたいところです。

書面での交付と電子提供が同時に進められるように、段取りを付けて準備をしましょう。

 

4.改正会社法のポイントを押さえて法律に則った経営をしよう

会社法は数年ごとに改正が行われるケースが多いため、うっかりしていると法律の変更点に気付かずに会社経営を進めてしまう恐れもあります。

法律が施行される時期などは、特に注意して見ておきましょう。

法律に則った経営をすることは、投資家のみならず取締役や社員から信頼される企業になるためにも重要です。法務省のウェブサイトやパンフレットなどをこまめにチェックしておくと、重要事項を見逃さずに済むでしょう。